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"デフレ経済からの脱却"など無理?

日銀がいくら金融緩和をしても今の市場に資金需要はない!

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 では、日銀のどこが”したたか”なのか?

 日銀は市場に資金を供給するために、ほぼ毎日、金融調節(オペレーション)を行う。この金融調節には、金融機関が保有する国債の買い入れや商業手形を買い入れるなどのいくつかの種類がある。そして買い入れる資産の種類が違ったり、資金を融通する期間が違ったりする。日銀は金融調節に当たって、複数のオペを組み合わせて実施する。

 実は、2月の金融緩和の後、2月16日に実施した固定金利オペでは、このオペ方法を導入して以来、初めて”札割れ”した。札割れとは、日銀が市場にこれだけ資金を供給しますよというオファー額に対して、金融機関がその資金を調達したいとして応募してくる額(応札額)に届かないこと。その後も、この札割れ状態が度々発生するようになったのだ。

 固定金利オペは、日銀が現在行っている金融緩和策の核となる資産買入等基金に組み込まれており、日銀としては札割れを何としても回避したい。その結果、日銀は金融調節での資金需要を固定金利オペに集中させるため、金利入札オペというオペレーションを中止した。3月1日の8000億円のオファー以降、金利入札オペは4月19日の4000億円のオファーまで一度も行われなかった。

 金利入札オペによる市場への資金供給額は、1月が5兆4000億円、2月は11兆円に増加した。そして、3月は1日にオファーされた8000億円分のみ。金利入札オペは期間が短く、1カ月以内に返済期限を迎える。このため、金融機関は返済期限が到来した金利入札オペ分を、次の金利入札オペで調達し直す。しかし、2月分に実施された金利入札オペについては、このロールオーバー(借り換え)ができなかったわけだ。

 本来、ロールオーバーが発生する金利入札オペは、2月実施分11兆円から3月に実施された8000億円の差額、10兆2000億円にのぼる。つまり、この金は、市場に供給されずに、逆に市場から吸収されたことを意味する。2月の金融緩和で資産買入等基金が10兆円増額されたことで、ほかのオペ手段も増額されているので、10兆2000億円全額が市場から吸収されたわけではない。それでも概算で5兆円程度は吸収されたと思われる。

 つまり、2月の金融緩和で10兆円の追加緩和を行ったはずが、実際に追加緩和されたのは5兆円だったことを考えれば、4月27日の金融政策決定会合で日銀が5兆円の追加金融緩和を打ち出したのは、何の不思議もない。5兆円の追加金融緩和なら日銀の”腹は痛まない”のだから。

BusinessJournal編集部

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