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野村、インサイダーでも課徴金なし!?根絶のカギは密告

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 昨年6月、公取委の山本和史事務総長は、記者会見で課徴金減免制度の導入効果についてこう述べた。

「この制度の導入をめぐりましては、当初、日本の風土には馴染まないのではないかなど、制度の運用を懸念する声もありましたが、実際に運用を開始すると、申請件数を見ていただくとわかりますが、課徴金減免制度は順調に定着したと考えております」

 06年度は79件だった申請件数は、10年度、131件に増えた。その間、課徴金の総額は93億円(13件)から721億円(12件)へ、実に7倍以上に増加した。この制度が価格カルテルや入札談合、特に大型事案の摘発でいかに大きな効果を発揮したかがわかる。

 先に挙げた式で言えば、左辺は0でも「発覚した時に被る不利益」が小さくなって、右辺がマイナスになれば不等式は成り立つ。密告が増えて効果があがるのも当然だろう。国民性うんぬんと言われたり、英米法とか大陸法とか難しい理屈を聞かされようと、独禁法には「密告の奨励」で実績をあげた立派な先例が存在するのだ。

 なお、独禁法には「密告の報奨金」制度はないが、インサイダー取引の取り締まりでは課徴金をその財源にすればよい。民主党は課徴金を引き上げたい方針であるし、もしも公取委のように取った課徴金が7倍になったら、報奨金の財源はたっぷりある。
 

 09年9月、鳩山内閣の中井洽国家公安委員長(当時)は記者会見で、「すでに特捜警察の捜査では、犯罪の解明に役立つ供述をした容疑者について、情状面をくむなど実質的な司法取引がある」と、警察幹部の言葉を引用して指摘している。また、06年2月3日の参議院財政金融委員会では、当時は野党だった民主党の峰崎直樹参院議員が、「アメリカ(SEC)では司法取引をはじめとするさまざまな取締りの手段を持っている」「そういう体制に変えなければ、第二、第三のライブドア問題というのは、必ずまた起きると思うんですよ」と発言している。

 だから、民主党にとって司法取引はタブーではないはずだ。部会長の大久保勉参院議員らインサイダー取引の規制強化を検討する作業部会のメンバーには、司法取引にも踏み込んだ議論を、ぜひやってもらいたい。
(文=寺尾 淳 フリーライター/ファイナンシャルプランナー)

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