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兜町で噂の人物の復帰で、増資マフィアも小躍り?

東理HD 特別背任罪に問われた人物が社長復帰

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手広くやっちょります。(「東理ホールディングス」HPより)

 元刑事被告人が上場会社の社長に復帰した。この社長の経歴を知る立場からすると、驚きの人事である。東証2部上場の東理ホールディングス(東京・八重洲)は、6月27日に開催する定時株主総会後の取締役会で福村康廣・元会長(55)が代表取締役社長に就任する。同氏は、東理HDの第三者割当増資をめぐり特別背任罪に問われていたが、2011年末に無罪が確定した。

 これを踏まえて福村氏は、4月2日に株主提案権を行使。同氏を含む4人の取締役と監査役の選任を求めた。福村氏は26.15%を保有する筆頭株主であり、会社側は「提案株主等の保有する議決権数を考慮すると、これを上回る議決権を確保することは現実的に困難」として、提案を受け入れた。福村氏が代表取締役社長となり永井鑑社長(68)は副社長、忍田登南副社長(59)は常務に降格する。

 福村氏は兜町では有名人だ。これまで、いくつもの業績不振企業を買収し、傘下に収めてきた。福村グループの上場企業は、教材販売のエスコム(現ジェイ・エスコム・ホールディングス)、学習塾経営のウィン(現フェリックス)、同じく修学社(現フェリックス)、ニッケル専業メーカーの志村化工(現エス・サイエンス)、ダイカスト専業メーカーの東京理化工業所(現東理ホールディングス)などの5社あったが、エスコムからは撤退。ウィンと修学社が合併してフェリックスとなり、エス・サイエンスが吸収合併した。そのエス・サイエンスは09年8月に上場廃止。この結果、福村氏が支配下に置く上場企業は東理ホールディングス1社だけとなった。

「業績不振の会社を利用して一儲けしようというのであれば、わざわざ社長になる必要はない。第三者割当増資の折り、うまく売り抜ければいいだけの話だ。福村氏は企業買収の意図がはっきりつかめない不思議な存在なのです」(証券関係者)

 福村氏は、その経歴からして一風変わっている。熊本県の材木屋の御曹司で、鹿児島大学歯学部に進んだが中退。医師になるべく熊本大学医学部に再入学したものの、ここも中退した。

 95年、熊本市で学習塾・ベンチャーデーターを設立した。学習塾の経営はうまくいかなかったが、当時ブームだった携帯電話の販売で当て、その利益を元手に99年、インターネットの教育システム会社・キーネットを立ち上げ東京に進出。九州の株好きの経営者たちがスポンサーになって、学習塾のチェーン化を目指した。

 当初は、学習塾のウィン、修学社、教材販売会社のエスコムなどへの投資だったが、03年に志村化工の買収を手掛けてから方針を大きく転換する。

 志村化工株式は長いこと仕手筋のおもちゃになり、株価操作事件で逮捕者まで出した。福村グループの学習塾は、そんな、いわくつきの会社の第三者割当増資を引き受けた。同じ時期に志村化工が東京理化工業所の増資を引き受けている。福村氏は04年6月、東京理化工業所の社長、同年10月に持ち株会社東理ホールディングスの社長に就任した。

 志村化工や証券界で「山口敏夫(元労相、背任・業務上業横領罪で実刑判決を受け政界引退)銘柄」と称された東京理化を買収したことから、兜町でその名を広く知られるようになった。


 証券市場には「増資マフィア」と呼ばれる人種がいる。業績不振企業にとりついて、資金調達をエサに経営に関与し、株価操縦、インサイダー取引などやりたい放題。会社を潰してしまう。メンバーは、外資系証券会社を渡り歩いた元証券マンの金融ブローカーや、タックス・ヘイブン(税金回避地)の投資ファンド、高利貸しなどの街金(まちきん)。捜査当局は09年から10年にかけて増資マフィアを次々と摘発して壊滅に追い込んだ。