NEW
エコー検査、医師の甘い認識に、産科婦人科学会が警鐘

石田東尾ダウン症告白に見る、高齢出産賛美の裏で中絶激増

【この記事のキーワード】

,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

安易な出生前検診の弊害

 日本産婦人科医会は、高齢出産の増加と簡易な出生前診断が原因と見ている。出生前診断とは、妊娠中に胎児の異常がないかを調べる検査の総称で、腹部に超音波を当てて子宮内を映し出す「エコー検査」や、妊婦の血液を調べる「母体血清マーカー検査」、腹部に針を刺して羊水を採取する「羊水検査」、胎盤の組織を採取する「絨毛検査」などがある。

 東尾が受けたクアトロテストは、「母体血清マーカー検査」に当たる。妊婦の採血だけで済む安全な検査だが、ダウン症などの障害がある"可能性"しかわからない。確定診断のためには羊水検査をしなければならないが、こちらは約0.5%の確率で流産のリスクがある。東尾が羊水検査を受けないと決めたのは、流産を避けるためであろう。

 前出の女性医師は、「本来、出生前診断は抑制的に行われるものです。ややもすると"障害児は生まれなくていい"とする優生思想につながりますから」と語気を強める。彼女自身は夫婦で相談して診断を受けない選択をした。結果的に生まれた子は健康だったが、診断を受ける場合は専門家によるカウンセリングと、十分なインフォームドコンセント(説明と同意)が欠かせないという。

エコー検査も出生前診断

 ところが、実際には野放し状態で出生前診断が行われているのが現状だ。エコー検査の精度が上がり、ダウン症の可能性を示す胎児のNT(首の後ろのむくみ)が、中絶可能な妊娠初期にわかるようになったからである。エコー検査は70年代から妊婦健診の定番として行われ、産婦人科の現場では半ばルーチン化している。医師の側もエコー検査が出生前診断になるという認識が薄く、日本周産期・新生児医学会の昨年の調査では、半数の産婦人科医が妊婦の同意なく検査をしていた。心の準備ができていないまま検査を受けた妊婦が、いきなり医師から「ダウン症の可能性があります」と伝えられ、途方に暮れた結果、安易に中絶を選ぶ悲劇が発生している。

 慌てた日本産科婦人科学会は、昨年、"エコー検査も出生前診断になり得る"とする指針を打ち出したが、現場の医師にどこまで普及しているかは疑問が残る。

 35歳以上の妊娠は、ダウン症のほかにもさまざまな染色体異常や、流産、妊娠中毒症などのリスクが高い。メデタイ話に水を差すようだが、覚悟が伴わない高齢妊娠の陰で、どれだけ多くの命が闇に葬られているか。安易な高齢出産賛美の風潮には、自戒を求めたい。
(文=編集部)

『生まれた命にありがとう』


賛否を巻き起こした一冊

amazon_associate_logo.jpg

石田東尾ダウン症告白に見る、高齢出産賛美の裏で中絶激増のページです。ビジネスジャーナルは、ヘルス・ライフ、出産石田純一の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!