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毎日の買い物が超便利になる! コンビニ考現学第4回

ビニール傘に付く”APO”や”EVA”の意味とは?

文=渡辺広明/元コンビニバイヤー

 ただし、コンビニの主要顧客ともいえる(?)忘れ物が多い人などは、年に5〜6本を買っているなんて場合もあるようなので、意外にロイヤルユーザー(ある商品などを何度も続けて購入するお得意様)での販売構成が高い可能性もある。余談だが、コンビニには、お客の忘れ傘も多く、1店舗あたり10本前後の忘れ傘が、現れるあてもない持ち主を待っていたりもする。

 日本で使用するビニール傘は、1990年代前半までほとんどが台湾で生産・輸入されていたが、人件費高騰の影響などで台湾メーカーが中国に進出し、今では日本で使用されるビニール傘の約95%が、中国の福建省 厦門・広東省深セン・浙江省上虞の3地区で生産されている。

 尖閣諸島購入問題や人民元の高騰などで、中国からの輸入がストップすると日本からたちまちビニ傘がなくなるリスクがあるため、生産地のチャイナプラスワンを早急に進めるべき商品なのだが、工場の特性によりなかなか進んでいないのが現状のようだ。

 というのも、ビニ傘はパーツ組立工場のため、傘骨、傘骨のメッキ、手元、ビニールシートなどの特殊なパーツ工場と組立工場が一緒に移動しなければ商品化出できないものである。そのため、ユニクロなどのアパレルのように、コストダウンのポイントである人件費が高騰したからといって、簡単にベトナムやバングラデシュに工場移転とはいかないのだ。

 しかもここ数年は、中国国内の人件費の高騰と原油高(ビニール・鉄の骨部分)により、原材料費のコストアップにつながっている。ダイソーなどの100円ショップでも、ビニール傘の価格は200円でしか提供できていない。コンビニでも、15年前までは税込300円がメインプライスだったが、現状は、税込399円~525円のプライスラインとなっている。

 そんな苦しい状況の中、単純な価格アップはお客の支持を得られないため、品質を向上させて、ニーズに合った商品に進化することで対応しているのだ。

 例えば、ほんの数回使うと壊れてしまうようなものではなく、ビニール部分を長年の継続使用にも耐えるしっかりした素材のものを作ったり、ワンタッチ式の商品なども増えてる。

 特にビニールの素材については、昔は質も悪く、最初に買ったときにひっついて開かないことを防ぐために、白い粉を振って開きやすいようにしていた。そのため、服に白い粉がつくというクレームも多くあったが、これも品質改善により白い粉がついている商品はほぼ皆無になった。

渡辺広明/元コンビニバイヤー

渡辺広明/元コンビニバイヤー

コンビニの店長、バイヤーとして22年間、ポーラ・TBCのマーケッターとして7年間従事。商品開発760品の経験を活かし、現在 (株)やらまいかマーケティング代表取締役として、顧問、商品開発コンサルなどに多数参画。報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。フジテレビ「Live News a」レギュラーコメンテーター。 「ホンマでっか⁉︎TV」レギュラー評論家。『ニッポン経済の問題点を消費者目線で考えてみた』『コンビニを見たら日本経済が分かる』等著書多数。
渡辺広明公式ホームページ

Twitter:@yaramaika

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