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毎日の買い物が超便利になる! コンビニ考現学第4回

ビニール傘に付く”APO”や”EVA”の意味とは?

文=渡辺広明/元コンビニバイヤー

 ビニールの素材もPVC(ポリ塩化ビニル)から、燃えた時に塩化水素などの有毒ガスが発生しない環境に配慮したAPO(非晶質ポリオレフィン)やEVA(エチレン・ビニール・アセテート)などの素材に変化していった。

 ちなみに、たまに話題になるが、なぜこのお客が誰も理解できない難しい素材名を傘の持ち手部分に記載しているのかというと、それぞれ独自に売り出している傘を、どこのコンビニで買ったかということを覚えてもらうのが狙いなのだとか。

 また、近年パソコンやiPadなど精密な機器を持ち歩く人が増えたため、これらが濡れないように大きな傘が欲しいという要望に対して、55センチから65センチが主流になり、今は70センチという大きなサイズの商品も発売されている。

 さらに販売面においても、昔は傘本体に売価タグがついていて、すぐ使いたいお客に対して商品を渡すのに時間がかかっていたが、今はフィルムで包むだけにするなどして、接客時間が大幅に短縮されている。

 このように、さまざまな生産面での制約を逆手に取り、ここ10年でビニ傘は大きな変化を遂げているのだ。

 とはいえビニ傘は、生産地である中国でもほとんど使用されていないし、世界的に見てもアジア圏のほんの一部のコンビニで販売されているだけで、日常的に使うのは、世界でも日本だけと言われている。使い捨て感覚のビニ傘は、贅沢日本の象徴的商品でもある。今後の節電や断捨離など、節約意識が高まるなかで、デザインもファッショナブルに進化していくことで、使い捨てされるものから、世界でも日常的に使用されるなると、新しい市場が見えてくるのだ。
(文=渡辺広明/流通クリエィティブディレクター)

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渡辺広明/元コンビニバイヤー

渡辺広明/元コンビニバイヤー

コンビニの店長、バイヤーとして22年間、ポーラ・TBCのマーケッターとして7年間従事。商品開発760品の経験を活かし、現在 (株)やらまいかマーケティング代表取締役として、顧問、商品開発コンサルなどに多数参画。報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。フジテレビ「Live News a」レギュラーコメンテーター。 「ホンマでっか⁉︎TV」レギュラー評論家。『ニッポン経済の問題点を消費者目線で考えてみた』『コンビニを見たら日本経済が分かる』等著書多数。
渡辺広明公式ホームページ

Twitter:@yaramaika

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