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住銀のドン磯田一郎会長の「裏カード」

西貞三郎元住友銀行副頭取死去で、イトマン事件を想う

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 西副頭取には、誰にもまねできない得意技があった。それは「磯田さんのカバンをさっと持ってしまう」というもの。関西のあるゴルフ場で、西氏のこの得意技を目の当たりにした上場企業の社長が、苦笑しながら語ったことがある。

「ゴルフ後の食事も終わり、みんなで帰ろうとしたら、もう西さんが磯田会長のゴルフバッグを持って、クラブハウスの玄関に向かっているのです。年季の入った早業でしたね」

 磯田氏と西氏の出会いは、磯田氏が初めて支店長になった大阪・高麗橋支店だった。西氏は同支店の中堅行員として猛烈に働き、抜群の成績を残し、新米の支店長を陰日なたなく支えたといわれる。

「ある日曜日の朝、新婚間もない西さんの家を磯田夫妻が突然訪れ、結婚のお祝いにと、泥だらけになって庭に木を植え、雑草を抜いていった」とのエピソードが残っている。それほど磯田氏は西氏を頼りにしていたのだ。

 西氏と河村氏に共通するのは、商業高校出身のノンキャリア組だという点だ。出世の階段を上り詰め、2人は副頭取と常務になった。2人はノンキャリア組の目標であり、励みであり、そして羨望の的でもあった。エリート集団への対抗意識をバネに、引き上げてくれた磯田氏のことだけを考えて突き進む2人を、磯田氏は「行内は西、行外は河村」といった具合に裏カードとして使い分けたのだ。河村氏は最後に磯田氏と決別するが、西氏は磯田氏と一緒に引責辞任し運命を共にした。

 昨年10月、三井住友銀行初代頭取を務めた西川善文氏の著書『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』(講談社)が刊行され、金融&経済界の話題をさらった。同書の中で、イトマン事件について、こう記されている。

<今まで私を含めて誰も住友銀行関係者は語ってこなかったことがある。この機会にあえて申し上げよう。イトマン事件は磯田さんが長女の園子さんをことのほか可愛がったために泥沼化したのだと私は思う。私は磯田園子さんと直接話した機会はなかったのだが、磯田さんの溺愛ぶりを示す、こんなことを耳にしたことがあった。

 後に結婚することになるアパレル会社社長の黒川洋氏と磯田園子さんがロサンゼルスに駆け落ちした。それを認めるわけにいかず困っていた磯田さんは、秘書を派遣して二人を連れ戻したのだ。磯田さんの秘書は園子さんに振り回されて、本当に苦労したようだ。

BusinessJournal編集部

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