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その時“ITの素”が生成された! デジタル・フロンティア・スピリット第2回

無数の“名無しさん”が大活躍 仮面の集団“アノニマス”の正体とは

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抵抗と匿名の国際的シンボル「wikipedia」より
 前回の終わりに、60年代のLSDとコンピュータ開発の交わりについて掘り下げることを予告したが、その記事がアップされる頃から見過ごせない出来事が続いた。

 6月20日、違法ダウンロードを刑事罰化した改正著作権法が日本で可決されると、アノニマスという名の集団がそれに反発し、25日に日本政府と日本レコード協会へサイバー攻撃を行うとの声明をサイト上で発表。翌日以降、財務省管轄のホームページを皮切りに、裁判所のサイトや民主党や自民党、日本音楽著作権協会(JASRAC)なども、サイト改ざんや一時的につながりづらくなるなどの被害にあった。

 さらに7月7日には、ガイ・フォークスという特徴的な仮面を着用したアノニマスたちが、違法ダウンロード刑罰化に合法的に抗議するために、無言で清掃活動をする“オフ会”が東京・渋谷で行われた——。

 これら一連のニュースをどう受け止めるべきか、戸惑った人も多いはず。ところで、こうして衆目を集めたアノニマス、あるいは機密情報を暴露してきたジュリアン・アサンジ率いるウィキリークスの活動が、“ハクティビズム”という言葉の範疇に含まれることを知っているだろうか? 今回は、ハックとアクティビズム(積極行動主義ないし政治的行動主義)を掛け合わせた、その概念を追究してみたい。

「90年代中頃からハッカー集団カルト・オブ・ザ・デッド・カウ(cDc)を中心に使われ始めたとされるハクティビズムという言葉は、簡単に説明すれば、政治目的を達成するためにハックを手段として用いることです。そうなるとハックの定義が必要ですが、それは日本語になかなか訳しづらい言葉。ただ要素を挙げるならば、独創的で合理的なプログラミング・ツールを生み出すことです。また、大規模で手の込んだプロジェクトというよりは、有り合わせのリソースの中で創意工夫を施し、人々を良い意味で驚かせる、といった意味があります」

 そう話すのは、ハクティビズムに詳しい一橋大学大学院の塚越健司氏。とすると、まずハック自体の歴史をたどる必要がありそうだ。そして、それはいかにしてアクティビズムと結びついたのか。塚越氏は続ける。

「1950年代後半のMIT(マサチューセッツ工科大学)に起源を持つハッカーたちは、最初から情報の共有や反権威主義を倫理としてきました。60年代に入ると反戦運動やカウンター・カルチャーの思想が主にアメリカ西海岸で隆盛し、その影響を受けてハッカーたちが政治的な活動を始めます。他方で70年代に公開鍵暗号方式という新たな暗号理論が研究者により発表されたのですが、それまで各国の暗号を解読していた米国政府は、高度な技術を持った暗号の輸出を食い止めようとしました。

『ハクティビズムとは何か ハッカーと社会運動』


無数の名無しさんによる主張。

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