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北電は、例外規定を利用して、すでに買取拒否を発動

ソフトバンクの落とし穴?再生エネ全量買取で東電原発の復活も

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「全量買取」といいながら、「電力の安定供給に支障を来す」とか「送電線網に余裕がない」など“正当な理由”があれば拒否ができる例外規定で、理由が正当かどうかについて細かい規定などはなく、第三者の審査を受けるわけでもない。電力の安定供給に責任を負う電力会社の判断に任されており、それは原発と同じく技術のベールに包まれた「ブラックボックス」だ。

買取を拒否された電力はどうなるのか……

 すでに北海道電力は、風力発電についてだが「買取枠が満杯」を理由に買取拒否を発動している。

 電力会社に買取や接続を拒否されたら、発電した電力はどうなるかというと、現在は電力を託送できる大口ユーザーを見つけるか、なんらかの方法で「蓄電」しない限り、ムダに捨てられる。燃料電池やリチウムイオン電池などで蓄えておける容量には限界がある。再生可能エネルギーの全量買取は3万キロワット以下の水力でも可なので、ダム水量のかたちで電気をプールできる揚水発電所を建設すれば、電気はムダにならないが、買取価格が24円に下がり、コストに見合わなくなるだろう。

 もったいないだけではない。電力会社は拒否権という武器を使って、メガソーラー発電業者をこの世から抹殺することもできる。

 メガソーラーを建設しても、買取契約を拒否されたら経営は立ちゆかなくなる。極端な話、ソフトバンクの孫正義社長が原発に反対するのが気に食わない電力会社が、ほかの電力会社と示し合わせて、ソフトバンクのメガソーラーからの電力買取を全国一斉に拒否したら、ソフトバンクが進めるメガソーラー事業は収入源を絶たれてギブアップする。太陽光発電という方式自体に出力不安定という弱みがあるので、技術のブラックボックスを利用すれば拒否する口実はいくらでもでっち上げられるだろう。

 電力会社の買取拒否、接続拒否が、実際にどの程度の規模、頻度で行われるかはフタを開けてみないとわからない。しかし、もし全国的に頻発したら、政府が節電を呼びかける一方で電気がムダに捨てられ、場合によっては期待されているメガソーラー事業が次々に倒れ、結局、大きくなったのは再生可能エネルギーではなく原子力発電だったという、皮肉な結末が待っているかもしれない。

送電事業が自由化されても、買取制度があるから参入できない?

 大手10電力会社がその地域の電力供給網を独占する体制には手をつけず、再生可能エネルギーで起こした電気について電力会社に買取を義務づけながら、運用があいまいになりかねない例外規定で拒否を認めている点に、この制度の問題点がある。

「それなら、拒否権を使うような電力会社の独占を崩せばいい」
 
 確かに、電力会社Aに買取を拒否されても、同じ地域の電力会社Bに拒否されなければ、電気はムダにならず、メガソーラーは収入源を確保できる。外国ではそうなっている地域もある。

BusinessJournal編集部

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