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補助金審査もズサン、「バイオマス・ニッポン総合戦略」の軽薄さ

総務省も8割がムダだと評価した!?国の再生エネ事業って一体…

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 蛇足に等しいが、この政策推進(補助金行政)で潤うのは、関係省庁とその関連法人だけだ。

申請書類の形式さえ整っていれば、補助金が引き出せる?

 ほかにも大きな要因として、次のような現実がバイオマス事業を困難にしている。

 まずは制度上の問題として、法律が再生エネ事業を想定していない。このため、「環境六法」と呼ばれる環境関連事業法と他の産業の事業法との整合性が悪く、再生エネ関連事業の規制緩和のネックになっている。

 バイオマスに限って言えば、燃料用チップの品質基準や木質ペレットストーブの安全基準がないなど、バイオマス普及の諸制度整備を置き去りにしたまま、国は「バイオマスの利活用推進」をしているわけだ。成功するわけがない。

 次にバイオマス原料の流通環境の面でも、欧米では農林業が一定の産業力を持っており、農林産物の大量流通網が出来上がっているので、それを利用してバイオマス原料である農林業廃棄物・副産物の大量流通も行っている。

 一方日本では、農林業廃棄物・副産物の大量流通が困難なので、事業化に不可欠な原料調達のコスト低減ができないでいる。

さらに補助金制度の欠陥もある。

 バイオマス政策では、技術開発や事業化の設備投資に対する補助金制度はあるが、量産化設備や事業継続に対する補助金や優遇税制はない。さらに補助金支給においても、原料調達やエネルギー需要に関する予測、建設・運用計画などの的確性を審査することはほとんどない。「はじめに予算消化ありき」で「書類の形式さえ整っていれば何の問題もなく受理される」(関係者)のが実態。

 その結果が、先に挙げた総務省の評価に表れている。

バイオマス発電のCO2発電は、環境負荷にならない?

 バイオマスは「再生可能であり、再生可能ではない」と言われ、他の再生エネとかなり異なった特性を持っている。その典型的な特性が「カーボンニュートラル」(CO2排出量が環境に対して中立)の考え方だ。

 バイオマスは燃やせば化石燃料と同じようにCO2を排出する。しかし、化石燃料のように、それが環境負荷になるとはされない。なぜなら、「植物は、成長過程のCO2吸収量と焼却によるCO2排出量が同等なので、バイオマスはエネルギーとして利用しても環境負荷を与えない」というわけだ。これについては詭弁とする環境問題関係者の声もあり、現在は少数意見だ。

 それはさておき、バイオマスの特性は、長所と短所から見たほうがわかりやすい。

 長所としては

 (1)適切に管理すれば再生可能で、資源は枯渇しない。
 (2)チップ化、液体化、ガス化などにより備蓄や運搬ができ、他の再生エネのようにエネルギー利用の場所的制約がない。またバイオマス発電は太陽光や風力より年間稼働率が高いので、需要に合わせた発電ができる。
 (3)地域的遍在がない。

などだ。

BusinessJournal編集部

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