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上場は終わりの始まり? 栄光の後に襲った内部クーデター、経営危機…

リブセンスは大丈夫か? 史上最年少上場社長たちのたどった苦悩

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 株式上場最年少社長のその後はおおむね、苦労はしても経営破たんして行方不明になるような最悪の結末は迎えていない。

 フォーバル(旧・新日本工販)の大久保氏は、10年に社長職を退いた後は「大久保秀夫塾」を主宰して経営者や起業家の育成に力を注いでいる。アスキーは消滅したが、創業者の西氏は現在、複数の大学で教鞭をとるなど主に教育者として活躍している。光通信は一時経営危機に陥ったが、03年に会長になった重田氏は自ら私財100億円を投じるなどして約3年で再建を果たし、現在も経営の第一線に立つ。サイバーエージェントの藤田氏は今やIT業界の重鎮として多くの若手経営者から尊敬を集める存在だ。

 だが、その藤田晋氏や堀江貴文氏とともに、一時「若手IT起業家の三羽ガラス」と呼ばれ、史上最年少でマザーズ、NASDAQ同時上場という日本初の離れ業を演じたクレイフィッシュの松島庸氏はというと、その後は苦難の道を歩んだ末、わずか1 年2カ月後に会社を追われている。その後は上海や香港に渡って投資事業を手がけたり、07年に逮捕者が出た「梁山泊事件」のからみで名前が取り沙汰されたりしたが、通信・IT業界の表舞台からは姿を消して久しい。

元クレイフィッシュ・松島庸氏の悲劇

 会社設立から追放されるまでの一部始終は、『追われ者-こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた』(東洋経済新報社)という自著にくわしく書かれている。

 日米ダブル上場で時価総額約1兆円、個人資産約2000億円を手にした直後、クレイフィッシュの最大のスポンサーで営業委託先の光通信に「寝かせ」と呼ばれる大量の架空契約が発覚する。兜町で「光通信ファミリー」を意味する「ヒカリモノ」と呼ばれたクレイフィッシュの株価は、光通信株と一蓮托生的にピークの5000万円から35万円まで大暴落した。松島氏は光通信との業務提携を解除するが、光通信は株価暴落で生じた約1000億円の負債の穴を埋めようとクレイフィッシュの虎の子の資金を横取りする謀略に出て、松島氏は必死で抵抗するものの、結局、村上ファンドを味方につけた光通信の退任要求と幹部の裏切りにより、会社を追われてしまった。

複雑な感情と友情

 この本からは、株式上場最年少社長の先輩にあたる光通信の重田康光社長(当時)に対する「恩人だが、今は敵」「憎んでも憎みきれないけれど、縁を切るのは寂しい」といった、実に複雑な感情が読み取れる。
 
 重田氏のことを「何を言ったところで、この人が動くのは、金と株だけだ」と言ったかと思えば、本のあとがきでは重田氏から届いた「今回の件は残念だった。君に才能はある。頑張れ」という手紙に心動かされ、「将来、私が再生できて世間も認めてくれたときには『私が育つきっかけを与えてくれてありがとう』と言えるようになるのかもしれない」とまで言っている。何でも敵と味方に分けたがり、白黒をつけたがり、勝ち負けにこだわる昨今の風潮からすると、むしろ新鮮に見えてくる。

 退任後、生活費にも事欠くようになった松島氏を見かねて、自分たちのおごりで東京・赤坂の高級レストランで「残念会」を開いたのが、松島氏と共に株式上場最年少社長のタイトルを重田氏から奪取した藤田晋氏と、堀江貴文氏だった。「三羽ガラス」が揃った席上、堀江氏はこう言ってなぐさめたという。

「これで自由になれるじゃないか」

「アンファン・テリブル」が、元気のないニッポンを活性化するか?

 そんな、まるで映画のような話から10年以上が過ぎて、才能とマネーが交錯して個性派がひしめいたITバブルは遠い昔の物語になった。当時、まだ中学生だったリブセンスの村上太一氏が株式上場最年少社長の記録を書き換えたが、この先も、時の流れと共に世代はどんどん移り変わっていく。

BusinessJournal編集部

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