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労働人口減、賃金上昇、多額の不良債権…中国苦境脱却のカギは日本?

中国には、国内で1千万人の雇用を創出する日本企業が不可欠

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 (2)の生産性革命についていえば、中国が近代化を成し遂げ、先進国入りするのに不可欠な「生産性革命による経済成長・発展」を実現するには、トヨタやパナソニックなどもの造りに精通した日本企業の技術協力なくして非常に難しいということだ。中国は日本を抜いてGDP世界第2位になり、「もう日本に配慮する必要はない」というおごった気持ちや自信があるのか、この厳しい現実をよく理解していない。

 現在中国に進出している日系企業は、大企業から中小企業まで含めて2万数千社、これら企業が雇用している現地従業員は400~500万人に上る。そのうち製造業が6割以上を占め、従業員の家族を含めると、日系企業は1000万人以上の中国人の生活を支えている。

 製造業はこれまでも、そしてこれからも中国人の雇用と経済成長を支える最大の産業である。もし、日本のメーカーが撤退したり、生産性革命を実現できず国際競争力を失って多くの中国企業が倒産したりすれば、大量の失業者が溢れる。彼らは反政府活動や政治的・社会的不安定の最大の温床になる。中国が政治的・社会的不安定に陥り、経済的にも生産性革命に失敗すれば、中進国の罠に陥って4度目の近代化挑戦=先進国入りも不可能になろう。

●日本の技術協力なくして、中国の発展はない?

 中国経済の最大の原動力である製造業において、低付加価値の産業構造のままにとどまるか、生産性革命を実現して高付加価値の産業構造に転換できるか、いまその正念場にあるといってよい。「製造業における生産性革命」を実現するのにきわめて重要な技術・ノウハウ・経験・人材・事例(成功事例も失敗事例も)を豊富に持っている日本企業の技術協力なくして、中国の先進国入りは難しいとさえいえる。この事実を中国は冷静に考えるべきであろう。同時に、日本にとっても中国との関係は国内市場が縮み傾向にある中、今後の成長・発展の大きな力になることは間違いない。

 中国リスクがあるからといって、日本企業が反日デモに反発して中国市場から安易に撤退するのは決して得策ではない。軍事用語で核抑止力という言葉があるが、中国との経済取引・貿易関係にはかなりの「したたかさ」が必要である。多少の政治的・外交的な緊張や軋轢があっても、日本との協力なくして中国の発展はないと彼らに思わせ、中国の圧力や脅威を押さえ込めるだけの「経済的抑止力」を持つことが大事になる。

 経済的抑止力とは、先進技術での圧倒的な優位性、核心技術のブラックボックス化、知的所有権の行使、粘り強い技術交渉力、経験豊富な人材による技術指導・教育訓練、日本ブランドの浸透力と宣伝活動などを組み合わせた総合力を確保し、中国リスクに対して確実な抑止力を発揮できるようにすることである。情緒的・感情的に対応したほうが、負けである。
(文=野口恒/ジャーナリスト)

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