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“陰のトップ”出井元CEO、最先端の経営…4期連続赤字の元凶とは?

ソニー元幹部が語る「内側からみた、迷走の“本当の”理由と再建策」

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原田 私は、ソニー創業者の井深(大)さんや盛田さんは「いろは坂型社長」だったと思います。社長はいろいろな部門を経験していて、ほとんどの社員と直接話をして人間を知っている。組織は人でできていますが、社長から見れば人間としての人「人間人」を使いこなせた。出井さんは「はしご型社長」でした。ある部門だけで、はしごを頂上まで上がっていったから、ほかの部分は見えないんですね。だから、社長から見れば道具としての人「道具人」を見つけて使う。能力がある人を、使える道具として使います。しかしそれはノコギリと同じで、使う人が下手だったら、うまく切れません。

 ストリンガーさんは「パラシュート型社長」でした。落下傘で頂上に降りて、会社の中は何も見えません。どこにどんな人がいるかもわからない。そんな社長にとって、人は機械と同じ。まさに「機械人」です。平井さんも、パラシュート型社長だと思っています。

ーーそうすると、はしご型やパラシュート型の社長ではダメで、昭和の時代のような「いろは坂型社長」でないとソニーの社長は務まらない、ということですか?

原田 いいえ、時代が時代ですから、パラシュート型でもかまわないんです。それでも、着地点が頂上や、副社長や役員のような頂上近くではなく、もっと下の現場のほうで、駆け足でもいいから部署を回ってさまざまな社員と接し、「人間人」を知って、それを使いこなせるようになってくれればいい。本来は、組織を下から走ってきて、社内の人間がちゃんと見えているかどうかが、トップの条件だと思います。

ーー新卒で現場に入って上がっていった人なら、ふさわしいですか?

原田 いや、今の新卒はみんな大卒・院卒で、最初からエリートとして本社の経営・財務・間接部門に入りますから、経営陣は近くで見てますが、現場を知っているとは限りません。子会社の経営を任されても、それは低い山の頂上に降りるパラシュート型社長で、そこの現場は見ていません。昔のソニーはエリートではない現場たたき上げの人でも、役員まで出世できる可能性が大きかったのですが、今は違います。せめてエリートとノン・エリートの間の昇格、降格のしくみがあれば、緊張感があってまだいいのですが……。

ーーエリートはどうしても、権力を持つ上のほうばかり見てしまいますね。

原田 入社した頃はそうでなくても、こんな体質の組織に入るとだんだん変わっていきます。人格も変わります。そうならないように、会社のために貢献して業績が良くなれば自分も幸せになれるという思想をエリートに植え付けるのが、トップの役目です。

●ソニーが復活を果たすために何をすべきか

ーーソニーが今、復活のために直すべき部分はどこなんでしょうか?

原田 ソニーは昔から研究、製品開発、デザイン、製造、国内営業、海外営業、宣伝など各部署の間のコミュニケーションが弱くて、トップがそれぞれをしっかり見ていた頃はまだうまくいったのですが、そうでない人がトップになるとバラバラになりました。社員が複数の部署を異動して、お互いのコミュニケーションを密にするべきでしょう。それは、本社と主要な子会社の間でも同様だと思います。

ーー部門の収益についてはどうでしょう。

原田 私は、赤字であるべき部門は赤字でいいと思います。子会社もそうです。「健全な赤字部門」は、他事業で補てんすればいいんです。企業全体も10年単位で赤字が続けばおかしいですが、1年だけ赤字なのは問題だと思いません。そこにちゃんとした理由があればいい。総合的にとらえ「これでいい」という判断をするのが経営者です。もしどこかの部門なり子会社なりに黒字化を求めるなら、経営者は「ここをこうしてください」と具体的な方法を示すべきです。もし黒字化しなかったら、それは経営者の責任です。

ーーソニーは企業統治では最先端をいっていると言われてきましたが、いかがでしょうか?

原田 社外取締役を何人も入れても、その人がソニーのことをわかっていなければ無意味です。他の会社とは社風も何もすべて違うんですから。企業統治の制度自体はどうでもいいんです。まともな人を連れてくれば、まったく問題はないんです。

ーー人材育成の方法も変えるべきですか?

BusinessJournal編集部

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