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知ってるようで知らない……薬局の歩き方・クスリの選び方 第5回

正露丸は無意味で時代遅れ、ただの殺菌剤?正しい胃腸薬の選び方

文=へるどくたークラレ
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 飲んでみて具合がよければ、体質にあっているのでそれがいいでしょうという程度です。ちなみに自分はザ・ガード信者です。とまぁ、だんだん整腸剤の話になってきたので、整腸剤と下痢止めの類いはそのうちまた別の機会にまとめましょう。

●こっから先は無保証ですよー。

 さて、真面目一辺倒に実用的な話をしてきましたが、ここまではあくまで食べ過ぎの話。

 食べ過ぎや胃のトラブルに効果のある薬というのはよくある話だが、飲みすぎ……つまるところアルコールの大量摂取や、二日酔い、こんなものに効果がある薬なんてものは存在するのでしょうか?

 薬局でそんな薬を尋ねても「ありませんねー」となります。それもそのはず、アルコール分解を促進するとか、そんな都合のよい話は、使用要項に含まれる薬は売られていません。

 じゃあ存在しないのか? となると実は存在しないわけではありません……が、残念ながら、最も良い薬は、2011年の薬事法改正の流れで、薬局から姿を消してしまいました……。

 かつてミノファーゲン製薬で製造されていた「グリチロン」というその薬は、グリチルリチンを1錠中35mg含む単純な薬で、アレルギーの症状緩和薬として売られていましたが、爆発的に普及した多くの抗ヒスタミン剤を前にして、その効果の薄さからまったく日陰の薬となったのでありました。

 しかし、グリチルリチンという成分は、肝機能更新薬であり、血中に入るとさまざまな物質を抱合という形で無害で水溶性の物質にして、尿中に排出してしまいます。もともと持っている肝機能の解毒作用を、外部から助けるというコンセプトのこの薬。実はアルコールの代謝物であるアセトアルデヒドに強力に抱合してしまうため、グロングロンの二日酔いですら、30分から1時間そこらで元に戻してしまう威力がありました。

 また複雑な作用機構は不明ですが、明らかに酔いにくくなるという作用も報告されており、一時期は知る人ぞ知る薬……となっていましたが、先述の薬事法改正によりあえなく薬局より消滅しました。

 現在グリチルリチンを同量配合する薬は、アレルギール(第一三共ヘルスケア)というアレルギー向けの薬なのですが、眠気成分が満載でとても酔い覚ましには使える(使っちゃだめですけどね)ものとは言えません。

 じゃあ結局もう無理なのかというと、そうでもなく、グリチルリチンはもともと甘草という漢方から見つかった成分。甘草がさまざまな解毒作用を持つことから、その成分が研究され製剤化され、西洋薬となったわけですから、オリジナルの甘草湯にはかなりの量のグリチルリチンが含まれます。

へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

覆面の不良科学屋。添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、『アリエナイ理科ノ教科書』の著者、SFやミステリーの設定やトリックの監修も務める。こっそり大学でも教養課程で科学を教えていたりする。過去の連載をまとめた『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』は好評発売中。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。

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