大手新聞社長、海外出張中に部下と愛人契約、経費で豪遊も

　「瓢箪から駒、ということ？」
　「そうだよ。香也ちゃん、プライベートでいろいろあったでしょ。国際事業本部から社長室に配置換えしたのも僕だ。君の気分転換になると思ってね」
　「でも、社長室の私を出張に連れて行くの、変じゃない？」
　「そんなことない。だって、国際事業本部の時、『大ルーブル展』の担当だったでしょ」

　大都では「大ルーブル展」は開催の4年前から計画し、準備に入っていた。最初は国際事本部で香也子が担当させられていた。

　「あの時、私、社長室に異動になって1年経っていたわ」
　「でも、国際事業本部の後任より、語学は香也ちゃんの方がずっとうまい。話は全部ついていて調印だけだったから、通訳なら君で全然問題なかったの」
　「本当に下心はなかったと信じていいのね」
　「あんなことになるなんて、夢にも思わなかったけど、金鉱を当てたというか、なんというか……。香也ちゃん、わかるでしょ」

　松野は困り果てたような顔をして、また香也子を抱き寄せようとした。
（文＝大塚将司／作家・経済評論家）

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週1月26日（土）掲載予定です。

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