(「Wikipedia」より)
1月7日公表時に733人だった被害者数が、同月18日公表時には5544人と7.6倍に拡大、被害金額も2811万円から1.8倍の4937万円へ拡大した。
1月7日の公表時、グリーは「未成年者の超過課金該当者が少なく、軽微な事象と考えていた。今後利用者に通知し、申し出があれば返金する」と釈明。同月18日にも、「原因はシステムの設計ミス」としている。
消費者問題関係者は、グリーの対応について次のように語る。
「設計ミスによる超過課金は技術的問題だとしても、それによる収益を業績として決算報告しているわけだから、これは立派な不正会計。その自覚がグリーの報告からまったく感じられない。また、グリーの一連の対応には、問題を把握時点で即座に公表しない不祥事隠蔽体質、問題発生を即座に察知できないシステム監視体制不備、『返金は申し出者のみ』という不誠実対応が見られ、被害者への誠意が感じられない」
●グリーの“優れた”ビジネスモデル
このような企業体質は、グリーのビジネスモデル自体に内在しているように思われる。
グリーの収益は、主に次の5つで成り立っている。
(1)一般広告収入……広告代理店を通じて販売しているインターネット広告枠の売上。バナー広告と、広告コンテンツを連動させたタイアップ型企画広告の制作・販売がある。ほかにコミュニティ企画運営受託による売上もある模様。
(2)成果報酬型広告収入(アフィリエイト)……グリーにアクセスしたユーザを販売サイトに誘導し、それで発生した売上から成果報酬として得た収入。
(3)有料サービス売上……有料会員向けサービス。携帯会員向け「GREEプラス」(月額300円)、PC会員向け「GREEプレミアム」(同)などがある。
(4)コンテンツ売上……携帯会員向け「きせかえプレミアム」(500〜5000円)でプロフ素材(プロフィールページの背景全体を好みのデザインに装飾できる素材や機能)を、デジタルコンテンツとして販売している。
(5)パッケージガチャ……最上級レアカードを引き当てる課金ガチャ
そして会員は、成果報酬型広告への参加、有料サービスへの登録、グリーへの友達招待などによりサイト内通貨「ゴールド」を獲得できる。ゴールドに換金性はなく、アバター(グリーのサイト上で利用できる自分の分身となるキャラクタ―)やSNS連動型ゲームの各種アイテム等と交換するためのグリーサイト内仮想通貨。
ここで注目されるのが、アバターやゲームアイテムはゴールド交換のみで入手可能になっていること。ユーザの「ゴールドニーズ」が成果報酬型広告、有料サービス、ユーザ数拡大に大きな役割を担っている点を見逃せない。
ゴールドは、実店舗やネット通販各社が顧客囲い込みを図るために付与している「ポイント」と同じ働きを持っている。
ソーシャルメディアでは、成果報酬型広告への参加、有料会員の登録獲得、友人の招待、商品購入、サイトの充実(コンテンツ・レビュー投稿、コミュニティ開設等)、他のユーザ評価(ランキング上位者、評価の高い回答等)、アンケート(投稿、回答等)などが重要になる。
これらのユーザ行動に対しポイントを付与することで、ユーザ行動をメディア側でリードでき、それが売上拡大の重要なビジネス手法になっている
●ミクシィとの違い〜無料から有料へ誘導
グリーのビジネスモデルがミクシィなどと違うのは、「無料ゲーム」というキラーコンテンツを持っている点だ。無料ゲームは初期集客の呼び水となると共に、有料コンテンツに誘い込むツールになっている。