ブラック化する大手新聞社、恐怖政治敷く“引きこもり”不倫社長の下で人材流出…

　村尾が入ったのは「シスレー・タワー二番町」という高層マンションだ。大手不動産会社が「シスレー」ブランドを使い、外資系の大企業、そして関西や中部に本拠を置く大企業の経営幹部を対象に都心で展開している高級賃貸マンションの一つである。

　引っ越したのは1カ月前だが、それまでも、同じシリーズの「シスレー・ハウス神楽坂」を借りていた。神楽坂のほうは村尾が名古屋本社副代表から東京本社に役員になって戻った2002年春に借りており、広さも100平米ほどだった。村尾の目的からすれば十分だったし、別に自宅を持ち、平日だけ利用する別宅として借りるなら、贅沢ともいえた。しかし、社長の別宅としてはシャビーな感もないわけではない。

　昨年暮れのことだ。突然、「社長という地位にふさわしいところを借りる」と言い出し、側近に引っ越し先を探すように命じた。そして見つけたのが「シスレー・タワー二番町」だ。部屋は最上階21階のペントハウスで、広さは130平米もあり、ベッドルームが3つあった。ベッドルームが2つの神楽坂より一部屋多い。それが村尾の気に入った。
（文＝大塚将司／作家・経済評論家）

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週3月2日（土）掲載予定です。

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