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SB、オリックス…太陽光発電で加熱する用地取得競争の舞台裏と、普及拒む障壁とは?

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 買い取り制度が、農政の問題を浮き立たせた格好だ。休耕地に限らず、農地を再生可能エネルギーの事業用地に転用するには、農地法や森林法、自然公園法などさまざまな土地の利用規制があり、複雑な手続きが必要だ。

●工業団地の空き地利用

 同社に寄せられる案件は、官有地、民有地、私有地とさまざまで、当初は官有地が多かったものの、現在は民有地が多いという。今のところ最も使い勝手がいいのは、工業団地の空き地だ。

 不況による生産拠点の海外シフトのあおりを受け、「塩漬け」状態で財政の足かせとなっている工業団地が全国には数多くある。財団法人日本立地センターによると、全国には約900カ所の工業団地があり、昨年3月末現在、東京ドーム3200個分の約1億5000万平方メートルが未利用のままだった。工業団地は整備された地盤と送電設備が完備されており、条件としては完璧だ。実際、宮崎県川南町には地元ガス会社が、広島県呉市には東京の倉庫会社がそれぞれ、メガソーラー建設を決定しており、今後も全国各地で続々と決まる可能性もある。

 ただ、建設当時のしがらみからか、中には工業団地の用途に制約を設けているところもある。工業団地は特殊法人が管理・運営しているところが多く、放っておいても固定資産税はかからず、責任者にもペナルティがないのだろう。しかし、これが民間だったら放っておけるはずもなく、少しでも収入の足しにすべく、有効利用しようと考えるに違いない。

 SBエナジーに、大手不動産開発会社から持ち込まれた案件がそうだった。その会社は大規模な宅地造成をしており、20期分くらいまで戸建ての分譲販売予定があるという。しかし、最後の20期となると売り出しが計画から20年くらい先の話になる。それまで、空き地にしておくのはもったいないので、造成前の土地に太陽光パネルを置いてはどうかという相談だった。これこそまさに経営センスといえる。

●科学技術と金融も太陽光発電を後押し

 まとまった土地が少ない都会でメガソーラーは難しいのだが、それでも、太陽光発電ビジネスは活発化している。一戸建ての屋根、公共施設、病院、飲食店、スーパー、福祉施設などの屋根の有効活用が期待されており、「屋根探し」をしている太陽光発電事業者が増えている。条件をクリアしたアパートやマンションなどの屋根を借りて太陽光パネルを設置し、屋根のオーナーには賃料が支払われる。

 科学技術の発達で、可能性はさらに広がる。例えば、シート状の有機薄膜太陽電池の重さは面積1平方メートル当たり約0.5kgで、同10~15kgもある既存の太陽電池の20分の1以下の軽さだ。これが実用化されれば、屋根ばかりではなく、ビルや住宅の外壁に太陽光パネルが貼り付けられて発電できる。

 金融業界も、こうしたビジネスを後押ししている。みずほコーポレート銀行は京セラグループが鹿児島県に建設中の「鹿児島七ツ島メガソーラー」では約270億円の総投資額の調達を担当したほか、日揮が大分県に建設するメガソーラーでも約80億円の事業費を地元の銀行と共同で融資している。

 また、一般投資家が簡単に投資できる小口化(証券化)の仕組み、いわゆる「ソーラーファンド」も出てきた。高知県土佐清水市でメガソーラー「土佐くろしおソーラー発電事業」を展開している日本スマートエナジー社は、同事業の出資者として子どもや孫向けの贈与契約を組み込めるようにした。子孫に美田ならぬ、太陽光の美田を残そう、というユニークな手法だ。ファンドは一口50万円で600口の参加を想定。運用利回り(予想分配金)は年3.5%、分配期間18年となっている。

「土佐くろしお」以外にも、長野県の「地域MEGAおひさまファンド」など、この種のファンドは全国各地に広がりを見せている。金融商品である以上、リスクゼロではないが、一般市民にとって太陽光発電がより身近になるのは間違いない。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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