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西武HDへTOBサーベラスの迷走…西武からの質問に明確回答避け、非合理行動続ける理由

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西武
西武HD傘下のプリンスホテルが運営する
「ザ・プリンス・パークタワー東京」
(『Wikipedia』より)
 西武ホールディングス(HD)株式の公開買付け(TOB)を実施中のサーベラスは、本日(4月5日)午前、TOB期間の延長と取得株数の上限引き上げを盛り込んだ訂正公開買付届出書を提出し、同日夕刻にも記者会見を開く予定だ。

 そのサーベラスは、4月2日夕方、同HD側からの質問への回答を公表した。

 西武HD側が出していた質問は、以下の4点だった。

(1)4%の買い増しが、どうして今後も継続的な支援と助言を行う意思の表明になるのか説明してほしい。
(2)取締役の推薦はトータル何名を予定しているのか。取締役の過半数を送りこむつもりなのか。
(3)上場時期など、上場に関してどう考えているのか。
(4)公開買付価格の1400円は、当社(西武HD)の現時点での適正な株式価値という認識かどうか。

 だが、サーベラスの回答は、筆者が読んでも回答になっているとは思えない内容だ。

 まず(1)の質問は、「関係を深めたい、今後も継続的な支援と助言をしたい」と言いながら、なぜいきなりTOBというケンカを売るような手法を使うのか、という質問だと理解するのが普通ではないだろうか。

 それに対する答えが、「株の買い増しはコミットメントをさらに深めることになる」では答えになっていない。「買い増しは経営陣にプレッシャーをかけるためにやっている、だから我々の助言を聞け、つまりは言うことを聞け」というのなら実にわかりやすいのだが、そうは書いていないからわからなくなる。

(2)については検討中だというから、答えになっているともいないともいえるが、増やす可能性もあるということだろう。サーベラスは西武HDに資本を入れた2005年から2名の取締役を派遣しており、今回はこの2名に加え、五味廣文元金融庁長官含め3名の取締役就任を求めている。西武の現在の取締役の数は9名。今回サーベラスが推す3名が純増の形で加わっても、7対5と取締役会の過半数には届かない。もっとも、定款上の取締役の人数の上限は18名なので、会社側が抵抗した場合、最大で10名送り込まないと過半数にならない。

(3)は唯一、答えになっているといえる回答だろう。「筆頭株主である自分たちとのコミュニケーションを拒絶しているということは、ガバナンスに問題があるということだから、自分たちの言うことを聞いて3人の役員を受け入れればガバナンスが正常化し、可及的早期の上場が実現する」と言っている。西武HDにしてみれば、無茶な要求をしてくる筆頭株主に毅然とした対応をとっているということこそ、ガバナンスが正常に機能している証拠だということになるから、この回答は西武側にとって一番カチンと来る回答かもしれない。

 そして最後の(4)については、質問の意図をすり替えてしまっている。「サーベラスは西武HDの現在価値を1株1400円だと考えているんでしょうか?」という質問を西武HDはしていると見るのが普通だと思うが、サーベラスの答えは1400円というTOB価格をどうやって決めたのかという内容になっている。しかも「1400円には、西武HDの経営陣が決めている端株の買い取り価格にプレミアムが乗っています」というのだから、「サーベラスが思う価値はいくらなんだ?」と聞かれているのに、「西武HD経営陣はこう思っています」と回答しているも同然なのである。

 情報が遮断されているので価値を計算できないというのであれば、ストレートにそう書けばいいものを、それをしなかったのはなぜなのか。1400円以上の金額を書けば、個人株主や投資家から「だったらその値段で買え」と言われるので書けないだろうから、わかりませんという回答は、「あり」だったのではないだろうか。

●合理的な説明がない追加取得株数

 サーベラスはこの回答書提出に先だって、3月27日に記者ブリーフィングを開催している。前日の26日に西武HDが記者会見を開催してTOBへの反対意見表明を行っているので、それを受けての対応だ。

 当日会見に登場したのはサーベラス・ジャパンの鈴木喜輝社長と経理部長、それに代理人の岩倉正和弁護士に社員という陣容。記者会見の冒頭から、「サーベラス・ジャパンは米ニューヨーク本社(サーベラス・キャピタル・マネジメント)に投資案件のアドバイスをするだけの役割の会社で、実際に西武HDに投資をしているニューヨークの出先ではない。ゆえに本来はこのような場でサーベラスの主張を説明する立場にはないので、質問の内容によってはニューヨークに確認をしなければならない」などという説明が飛び出す異例の展開になった。