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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(4月第3週)

すでに原油や穀物価格が上昇 4年後には物価が11%も上昇!?  消費増税もネックに

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一般人ばかりが貧乏に……。(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「週刊東洋経済」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

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「週刊東洋経済 4/13号」の特集は『良い値上げ 悪い値上げとは? 脱デフレの処方箋』だ。

「消費者物価の前年比上昇率2%の目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。量的・質的ともに次元の違う金融緩和を行う」――黒田東彦・日本銀行総裁による異次元金融緩和がスタートした。

 市場参加者にとって期待以上の緩和で、日経平均株価は発表後に500円近く上昇し、4年半ぶりの高値水準に迫った。「2%の物価上昇という政府目標が達成されるには、企業の値上げが欠かせない。消費者が納得する。良い値上げを成功させる方法を探る」という特集だ。

「良い値上げ」とは「金融緩和による円安で、輸出企業の採算が向上。従業員の賃金が上昇して消費が活発化。設備投資も増え、景気拡大の好循環が生まれ、需要が拡大する中で物価が上昇していく」というものだ。

 一方の「悪い値上げ」とは「円安によって輸入物価が上昇。資源・素材が値上がりし、内需企業の収益が悪化。賃金が減り、購買力は低下するのだが、商品の価格だけは上がっていく。需要が増えない中での物価上昇は長続きせず、いずれ物価が下落するデフレに逆戻りする可能性がある」というものだ。

 日本経済の現下では、「賃金上昇→消費拡大という流れが見えてこない」ために、「悪い値上げ」になりかねない。4月1日に日銀が公表した「生活意識に関するアンケート調査」(有効回答2347人)でも、「1年後に物価が上がる」とする回答が74.2%と、3カ月前の調査に比べ21.2%ポイント急増したにもかかわらず、「1年後の支出を現在より増やす」という回答はわずか4.8%にすぎない。こちらは、同じく3カ月前と比べて0.2%ポイントしか上昇していない。これでは購買力が低下した「悪い値下げ」になってしまうのだ。

 すでに起きている「悪い値下げ」もある。「輸入原油や輸入穀物の価格が、円安によって上昇。資源・素材各社は、相次いで値上げを公表している。最終製品の価格を上げられなければ、メーカーや卸・小売企業の収益が悪化し、賃金が抑制され、デフレが続くことになる」。

 特集では4年後の物価は今より11%上昇している可能性を指摘している。「(14年4月には8%に、15年10月には10%に)消費増税も控えている。14~15年にかけて消費税率を5%引き上げるというのが政府方針だ。これに2%の物価上昇が重なると、4年後の17年4月には、現在より11%も物価が上がっていることになる(第一生命経済研究所の試算)」。

 なお、8%に増税された15年4~6月期のCPI(消費者物価指数)水準は5~6%だ。

 しかし、賃金水準は変わらないために生活が困窮するのだ。

 東洋経済の数値ほどでなくても、「日経ビジネス4/15号」記事『点検アベノミクス 浮上する消費増税先送り』によれば、消費税を8%に3%引き上げた場合の15年4~6月期のCPI(消費者物価指数)水準は13年4~6月期と比べ4%も上昇することになるという(クレディ・スイス証券の試算)。

 このため、消費増税後の景気失速を回避するために、また、16年の衆・参ダブル選挙をにらみ、2度の税率引き上げは避けるべきという消費税先送り議論も浮上しているという。

 消費増税に慎重なのは現在、アベノミクスを押し進めるリフレ派に多く、7月の参院選で自民党が圧勝すれば、リフレ派の主張がより勢いがつきかねないという。消費増税の正式決定は、この4月からの景気を見て、安倍首相がこの秋に判断することになるが、参院選は消費増税も再び争点になってきそうだ。
(文=松井克明/CFP)

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