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フジ『最高の離婚』、“実際の”視聴率は2倍? 正確な視聴率調査が行われないワケ

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「Thinkstock」より
  テレビ視聴率とは、番組の人気度を測る重要な指標であり、調査会社ビデオリサーチが関東地区、関西地区、名古屋地区で各600世帯、それ以外の地区では各200世帯、全国27地区で計6600世帯を対象に、地区ごとに調査している。

 このテレビ視聴率において、テレビ朝日は4月1日、2012年度の平均視聴率が、ゴールデンタイム(午後7~10時)とプライムタイム(午後7~11時)において、1959年の開局以来初の首位を獲得したと発表した。また、全日帯(午前6時~深夜0時)では42年ぶりの2位を獲得した。

 しかし、テレビ視聴率には録画視聴者数が含まれていないため、テレビ業界内では、「実際の視聴率では、録画視聴者数が多いドラマに強いフジテレビやTBSのほうが、上回っているのでは」との見方もある。

 このように、最近、現在のテレビ視聴率調査が、デジタル化による録画視聴者数の増加や、スマホやワンセグなどの視聴スタイルの多様化などに追いついておらず、「実態を反映していないのではないか」という指摘が増えている。テレビ業界からも、「反響が大きい割に、視聴率が伸び悩むケースも多い」との声も上がっている。

 そこで今回、テレビ視聴率調査に詳しいリサーチ評論家の藤平芳紀氏に

「なぜ現在のテレビ視聴率調査は、実態を反映できていないのか?」
「リアルタイムより録画で視聴する人が多いドラマの、本当の視聴率とは?」
「より正確な視聴率調査が実施されない理由とは?」

などについて聞いた。

--現在ビデオリサーチにより行われている視聴率調査について、「実態を反映していない」と指摘する声も聞かれますが、どのようにお考えでしょうか?

藤平芳紀氏(以下、藤平) 去る2月1日、NHKのテレビ放送が始まって60年の歳月がたちました。この間、視聴率調査はテレビの進歩・発展とともに歩を進めてきました。しかし、テレビにデジタル化という大きな波が押し寄せてきたとき、視聴率調査はその波に上手く乗ることができませんでした。

 これまでテレビの視聴者は、テレビ局から一方的に送られてくる番組を視ていました。つまり、限られた選択肢の中から視たい番組を選ばざるを得ませんでした。ところが、デジタル化によって、多メディア化・多チャンネル化になり、視聴者のテレビを視るスタイルや環境は、多様化しました。選択肢が大きく増えたわけです。

 例えばワンセグ放送が始まり、携帯電話やスマホでもテレビ視聴が可能になり、自宅以外の場所でテレビを視る機会が増えました。加えて録画装置も進化して、外で働いている人は、番組は録画して、時間ができたときにそれを再生して視るというような傾向も加速していることはご存じの通りです。

--現行の視聴率調査は、そうした多様化をカバーしきれていないということでしょうか?

藤平 そう思います。ビデオリサーチ社がよりどころとしている視聴率調査の定義は、50年前の創業時に取り決めた「自宅の据え置き型テレビで、番組を放送とリアルタイムで視聴した世帯の測定」です。つまり、世帯別に自宅のテレビに取り付けた視聴率測定機の稼働状況を捉えたチューニング・データなのです。

 ビデオリサーチは、1962年に視聴率調査を開始しましたが、その当時は、テレビはお茶の間に鎮座していて、家族全員でそろって番組を視ていましたから、テレビの電源が入っているのに、きちんとそれを視ている人がいない、という状態はなかったのです。ですから、視聴率調査は、「世帯の視聴を測定する調査」でも十分でした。

 しかし今はどうでしょう。テレビがついていても、誰もきちんと視ていないケースも多いですよね。つまり、従来の定義では今日の多様なテレビ視聴を捉えきれない時代になっているのです。「視聴者はどのような視聴環境で、どういうテレビの視方をしているか」を捉えるビューイング・データでなければ、十分ではなくなっているのです。

--つまり、現在広く使われている「視聴率」は、実際の視聴率とはかなりかけ離れたものになっているというのでしょうか?