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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第31回

セクハラ幹部の愛人が自殺!?大手新聞社、警視庁へ根回し、遺族には金でもみ消し?

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「もう15年以上前のことですし、すべてけりが着いています。大都がカネで片付けてくれたことは知っていますが、それがいくらだったのか、僕自身、知らないんです」

「そうだな。もういいじゃないか。村尾君、どうだね」

「わかりました。でも、北川君にはセクハラの噂もあるんじゃないですか。そっちはどうなんですか。モテモテの男には似合いませんからね」

 村尾は引き下がるとみせて、セクハラの噂を持ち出した。北川と女たらしという点で相通じるだけに、その言い回しには棘があった。

「村尾君。武士は相身互いというじゃないか。それに君とうちの北川は女性問題じゃ、同じ穴の貉だろう。普段は優男だが、酒が入ると、図に乗るところがあるんだ。こいつは」

 松野が笑いながら、隣の北川の頭を小突いた。

「やっぱり、セクハラの噂も本当なんですね」

 今度は、小山が身をすくめて苦笑いするだけの北川をからかった。

「噂は否定しないよ。でも、どちらかといえば、女のほうから言い寄られたのが原因のことが多いんじゃないか。北川が図に乗ったところもあるが、女のほうが完全に自分のものにならない北川への腹いせでセクハラだ、セクハラだ、と騒いだんだ。そう俺は見ている」

 松野が北川に代わって答えると、小山が突っ込みを入れた。

「じゃ、北川さんは被害者ということですか」

「まあ、そういう面があるということだ。でも、俺はよく知らないんだ。噂のことも……」

 北川は件の自殺事件で95年春に大阪経済部に異動になって、一度、札幌編集部長で出ただけで、ずっと、大阪勤務だった。東京に戻ったのは4年前で、松野とはそれまで同じ釜の飯を食ったといえるような関係ではなかった。

「先輩は北川君が札幌支社編集部長の時の話は知らないんですか」

 今度は村尾が疑り深い眼つきで松野を見た。

「事務のパート女性にセクハラだと騒がれたというんだろう。大阪経済部時代にも2、3件あるらしいが、彼が被害者の要素もあるし、もうすべて済んだ話だ。この辺で、北川の話は終わりにしよう」

 むっとした表情の松野はそう言うと、手を叩いて唐紙に向かって大声を出した。食事があらかた済んでいたからだ。老女将がお茶を運んでくるまで、しばらく間があった。小山は懲りない男だ。慇懃無礼とも受け取られかねない表情を浮かべ、恐る恐る聞いた。

「身体検査は僕と北川さんだけで終わりということですか」

(文=大塚将司/作家・経済評論家)
※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週5月24日(金)掲載予定です。

BusinessJournal編集部

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