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今さら聞けない…憲法96条改正議論高まりのワケとポイント〜ゲームのルールを変える

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日本国憲法原本「上諭」
「Wikipedia」より)
 弁護士法人アヴァンセリーガルグループのパートナー弁護士で、企業法務から民事/刑事事件、インターネット関連法務など幅広い分野で豊富な経験を持つ山岸純氏が、話題のテーマや身近な紛争事案などについて、わかりやすく解説します。

 最近、ニュースで「憲法改正」というキーワードがよく取り上げられています。特に、安倍晋三総理は「96条」の改正に熱心のようです。

 では、なぜ今、憲法96条の改正が議論されているのでしょうか?

 そもそも、現行憲法とは、ポツダム宣言を受諾して終戦を迎えた日本が、連合軍総司令部(GHQ)の監督の下で作成し、1947年5月3日から施行された「国民の権利」と「国の統治の基本原則」を定めたルールを意味します。

 そして、この現行憲法が作成されてから60年以上が経過していますが、この間、一度も「改正」されたことがありません。

 もっとも、“戦後”から60年以上がたち、憲法が作成された頃からは、社会の状況や国民の考え方なども、大きく変化しています。

 例えば、憲法9条には「戦争、武力による威嚇、行使のための陸海空軍その他の戦力は保持しない」旨の規定があります。

 通説的な考え方によれば、「“戦争”をするための軍は持たない」と読むことになりますが、仮に日本が他国から発射された攻撃ミサイルを撃墜する場合は、それが日本を守るため(自衛)であっても“戦争”には変わりませんし、その際に活動する自衛隊を“陸海空軍”にあたらないと言うことは無理があります。

 また、憲法には、国民の権利として表現の自由や職業選択の自由などが明記されていますが、最近では、憲法作成時には考えもつかなかった「プライバシー権」や「環境権」といった権利も国民の当然の権利として認識されています。

●不具合の解消

 このように、作成から60年以上が経過した現行憲法には、いろいろな面で“不具合”が生じてしまっているわけです。

 もちろん、これまでにも国会を中心に何度か「憲法を改正しよう!」という動きがあったのですが、憲法を改正するためには、憲法「96条」に、

(1)衆議院・参議院それぞれの3分の2以上の賛成と
(2)国民の過半数の賛成

という条件が規定されているため、「条件が厳しすぎて改正は無理」という状態が続いていたのです。

 そこで今回、いろいろと“不具合”が生じてしまっている現行憲法を現実に合わせるために(=憲法を改正するために)、まずは憲法を改正するための条件を改正しよう(憲法改正規定の改正)という動きが上がってきたわけです。

 例えるなら、「何度やっても勝てないゲームがあるので、そのゲームのルール自体を変えてしまおう」という発想に似ているかもしれません。

 また、今回の背景には、「現行憲法は、GHQによる占領下で作成されたものだから、日本人の手で新しくつくり直すべきである」という政治的なメッセージも含まれているようです。