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ベンチャーの罠〜ある上場企業の株と人をめぐる不可解な動きに、市場関係者から疑問続出

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「バルクは08年に債務保証で1億円の損失を出したことを発表したが、この債務保証は、株の問題で話題になった会社の出身者や、証券会社出身者などがバルクに経営幹部として在籍していたときに行われた。2人ともすぐに退職したが、そのうちの一人は、その後に事件を起こしている。トップマネジメントが、まともに機能していないのだろう」

 バルクはこの1億円の損失を出した後に、現社長の大竹氏との接点が生まれた。大竹氏は経営していたヴィオの民事再生を申請して、買収されたアイフィスから業績のさらなる悪化を理由に10カ月後に「ゼロ千円」でヴィオを返却され、その2カ月後バルクにヴィオを買収してもらい、2年後にバルク社長に“出世”したのである。

 大竹氏は現在もヴィオの社長を務めているが、ヴィオのホームページに掲載された同社の沿革には、

(1)民事再生を申請したこと。
(2)アイフィスの傘下に入ったこと。
(3)傘下に入って10カ月後に返却されたこと。

 この3つの事実が書かれていない。

 バルクはヴィオ買収の際、ヴィオについて「特に官公庁、金融、流通向けのシステム開発に強みがあり、システム提案から運用サポートまでを一括して受託し、高い評価を受けています」(IR)と評価したが、官公庁や金融機関は、こうした経緯に対して「高い評価」をしているのだろうか?

 前出の証券業界関係者は、さらに続ける。

「バルクの技術力に目をつけた大手企業が、経営に関与したいという意欲を持ち始めたらしい、という噂が流れている。バルクを成長軌道に乗せて優良企業に変身させるために、経営陣を刷新して、本格的にテコ入れすることを視野に入れているのではないだろうか」

 こうした悩みは、新興市場でくすぶり続けているベンチャー企業に共通した現象だ。ある経営コンサルタントは、こう断言する。

「新興市場に上場したての時期が旬で、その後何年もパッとしないような企業は、経営陣の能力が限界に達している。だから、ファイナンスやM&Aなどでひと稼ぎしようとしている連中に、絵を描かれてしまうのだ。かといって、このクラスの企業に、ひと稼ぎ屋の正体を見抜ける人材はほとんどいない」

 官民が進めるベンチャー企業振興策も、誰もがなれる起業家ではなく「企業家」の育成に主眼を置かないと実を結ばないだろう。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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