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株価高騰はバブルなのか?アベノミクスによる景気回復を左右する7つのカギと懸念材料

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–米国の景気回復が日本の経済復調に大きな影響を持っていると思うが、米国ではここに来て金融引き締めの話が出てきて、その影響が証券市場にも出ている。

木野内 金融引き締めの話が出てくるのは、米国の景気がよくなっているからですが、その結果として金利敏感株が暴落している。リート(不動産証券化商品)や配当株などが暴落していて、こういう時にはお金が景気敏感株に半年ぐらい向かうことがよくあります。日本の景気敏感株も、向こう半年ぐらいは買いが進むと思います。

–アベノミクスは、今後デフレを脱却して経済成長することができるか?

木野内 景気循環の立場でみると、デフレから脱却し、一定の経済成長を続けることができるようになるのは不可能ではないと思う。デフレは景気循環でみたら、コンドラチェフ波動という48~60年ぐらいある景気循環のボトム近辺での出来事です。デフレからの脱却というのは、この景気循環を上に向かせること。そのためには7つぐらいの必要な条件があるが、アベノミクスは4.5個ぐらいは達成できそう。2つは外部的な要因なので、時間とともに来年の終わりごろに達成できるのではないか。ただ0.5個不足しているものがあり、これが課題だ。

–その7つとは何か?

木野内 以下の7つだ。

(1)積極的な金融緩和
(2)長期的な円安期待
(3)約50年サイクルの景気底入れ
(4)イノベーションの増加
(5)ニューフロンティアの獲得
(6)紛争の増加
(7)海外金利の底入れ

 インフレターゲットは株価の引き上げに一定の効果を示したし、シェールガス革命で米国の赤字が縮小し、円高にも歯止めがかかった。公共投資もすでに過去に行われたものが50年経過し、更新サイクルに入っている。ニューフロンティアの半分はTPPに期待している。ただ、今のまま開国するとサムソンやポスコに負けてしまう。それこそソニーやパナソニックが一緒になるなど、国内の産業再編を加速させていかなければならない。しかしM&Aというのは景気が悪くならないと進まないことが経験則的にわかっているので、0.5というのはこの部分です。(6)(7)は海外要因だが、これは来年になれば、ある程度解決すると思う。

●2%のインフレ目標達成は難しい

–2年間で2%のインフレ目標については達成可能か? 実現的にはかなり難しいとの見方もある。

木野内 難しいと思う。ただ世間ではかなり誤解があるが、アベノミクスはインフレを起こそうとしているわけではない。資産デフレを止めて、インフレになるように経済をよくしたいという意味。いま銀行がお金を余らせても、市中の銀行はこれを使わない。借りてほしいところはキャッシュリッチで、借りてくれないからだ。

 しかしこの状況でお金を使うとしたら、お金を持っているキャッシュリッチな人から使う。こうした人は資産にお金を投資するわけだが、デフレ下では資産が目減りするので、お金を使わない。経済がよくなるには株などの資産価格が上がり、その波及効果で経済がよくなり、そのあとに物価が上がる。あくまでも経済をよくすることが目的だ。また、2年で2%というのは、2%インフレになるまで長期間金融緩和するというメッセージだ。

–そのための課題は何か?

木野内 成長戦略の中で一番重要なのは、民間投資をどう増やしていくのかという点。そのための施策を来年度にやろうとしている。アベノミクスの3つの矢のうち、財政出動は1月、金融緩和は4月に行われている。成長戦略が来年では、あまりにも遅すぎる。来年から企業への優遇政策をするといったら、企業は今年度やろうとしていることを来年に繰り越そうという動きになる。ピントがぼけている。

 実は今年秋に来年4月に消費税引き上げをするかどうかを決めるが、消費税法で、消費税を導入するために成長戦略や公共投資に予算を重点的に使えるようになっている。だから金融政策や財政政策を順調に進められた。ところが消費税導入が決まると、今度はそう簡単にはいかない。政治と官僚とのパワーバランスが変わるからだ。だからやれる成長戦略は、秋までにはやらなければならない。それは、今後経済成長できるかどうかの大きな分水嶺になるのではないかと思う。
(構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

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