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Surface RT値下げから透ける誤算 チグハグな販売戦略、増えないアプリ…

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 また、3月10日付日本経済新聞の取材に対して、樋口社長は「Surfaceは専用キーボードを装着すれば、使い慣れたWindowsパソコンのように使えるのが強みだ。ワードやエクセルも標準搭載しており、生産的な仕事ができるタブレットだ」「MSの競争相手は他社OSであって、Windowsパソコンではない。短期的には協業メーカーとの間でシェアの食い合いが起きるかもしれない。だが、最終的にはWindows市場の活性化に繋がると考えている」と語り、業界の「Surface脅威論」払拭に努めていたのが印象的だった。

 Surface販売は、業界との共存共栄関係を壊さぬよう、慎重に進めなければならない。一方で、先行するアップルやグーグルに追いつくためにはSurfaceを1台でも多く売らなければならない。そんなジレンマを抱える日本MSの立場を、さらに弱める要因がSurface自体にあった。それはRTが採用しているOS・Windows RTだった。

●家電量販店も敬遠

 既述通り、CPUがインテル製ではないので、Windows向け既存アプリはほとんど動作しない。インストールもWindows Store上で販売のアプリに限られる。こうした制約をユーザに説明しないで販売すると、日本MSはクレームの洪水にさらされる。

 そこで同社は「RTの制約をきちんと説明し、その上でRTの魅力をユーザに訴えられるような店員教育をしっかりできる店舗に販売ルートを絞った」と言う。だが「家電量販店の現場は、詳しい説明をしなければ売れない手離れの悪い製品は敬して遠ざけるのが常識」(家電量販店関係者)。日本MSは、販売ルートの実情にも疎かったというしかない。

 Surface RTの不振を予見したかのように、昨年10月24日付のロイターは次のような興味深い報道をしている。

・その1:テクノロジー系ブロガーや批評家は、OSの動作が遅いことやアプリの少なさがSurfaceの大きなマイナスになりそうだと見ている。

・その2:「Gizmodo」のサム・ビドル氏は、Surfaceは力不足で機能性に欠けると批判。「ポテンシャルは関心を持つに値するが、購入には値しない」
 その3:「WIRED」のマシュー・ホーナン氏は「誰からもSurfaceのことを聞かれなかった。至る所で見せびらかした。でも、その努力も空しく誰も関心を示さなかった」。

 業界関係者の間では「米MSがSurface RTの次世代モデルを開発済みで、今秋の発売を計画している」との観測が流れている。このため、米MSが現行モデルで流れた悪評や販売システムの失敗を、次世代モデルでどのようにリカバリーするのかに業界関係者の関心は移っている。
(文=福井晋/フリーライター)

BusinessJournal編集部

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