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土橋克寿「つくり手の鼓動」第3回

英米より効果抜群? フィリピン英語留学人気の秘訣と、驚きの学習システムの裏側に迫る

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セブ中心部のビジネスタウン・ITパーク
 フィリピンへの日本人渡航者が急増している。2009年32万人、10年35万人、11年37万人、12年41万人と上昇傾向、13年も前年同月比8~10%増となっている。リゾート地として名高いフィリピン・セブにおいて、いま人気を集めているのが英語留学である。毎日4~6時間のマンツーマンレッスン、3食付き、宿泊代込みで、1カ月10万円から滞在できる。1~2週間の短期滞在も可能で、日本との時差は1時間、成田から飛行機で5時間20分というアクセスの良さも、人気を支える要因となっている。

 セブ中心部のビジネスタウン・ITパークは、世界を代表する大手企業がオフィスを置き、24時間態勢のコールセンターが並ぶ。ITパーク内では、スターバックスのコーヒーやスマートフォンを片手に若者が行き交い、世界各地のビジネス街となんら遜色ない。ここに拠点を置く英会話スクールのQQイングリッシュは、セブにおいて日系最大規模の語学学校である。13年夏の生徒数は約150名、出身は多国籍にわたっており、韓国、台湾、ロシア、ベトナム、タイ、イランなどからも留学生が集う。同校では、約400名の講師を正規雇用、オンライン・オフライン両方の英会話サービスを提供することで「英語学習を継続できる仕組み」を構築している。例えば、「留学して集中的に学び、帰国してからオンラインで学習を続ける」「仕事をしながらオンラインで勉強を続け、有給休暇などを利用し、1週間の短期留学で成果を試す」そんな選択肢を提供することが可能となった。

 さらに、明治大学と連携した実証実験を行い、同校のレッスンを受けた学生のTOEIC点数をサイトで公開した。カランメソッド(イギリスで生まれた実践的メソッド)を中心としたオンラインレッスンにより、2~3カ月の学習期間(計80時間の特訓講座)で平均110点、最高で250点、TOEICスコアが伸びたという。その一方で、中国や韓国、ブラジルなどへ事務所を配置するとともに、イギリスやイタリア、香港、台湾、イラン、サウジアラビアなどへ取引先を広げている。学習ネットワークの世界展開を推し進めるQQイングリッシュ理事長の藤岡頼光はこう話す。

 「アメリカやイギリスへの留学に比べ、フィリピン留学のほうが良いと自信を持って言えます。理由は価格面だけではありません。フィリピンの人々は、教師という職業にとても向いているのです。フィリピン人は、世界の国々において、看護・介護領域で活躍している方々が多い。大家族の中で育った彼らは、協調性とホスピタリティーに優れ、他人を手助けする仕事を得意としています」

●それぞれ特色ある運営で展開する英会話学校

 そして、同じITパーク内に拠点を構えているのが、語学学校NILSである。同校は授業をする場が特徴的で、オープンブースとなっている。NILSを運営するJICC最高経営責任者の原洋介が手掛けてきた、コールセンター事業におけるポイントを語学教育で生かした。コールセンターでは、成約のたびに「おめでとう!」という仲間の声が飛び交うと、その場にいる全員のモチベーションが上がりやすい。広い部屋で発声し合った時の効果を語学学習に取り入れるため、NILSではマンツーマンでありながら仕切りを設けないオープンブースとした。

 また、ITパークから程近いビレッジ内(塀で囲まれた高級住宅街)にあるのが、語学学校セブボーディングハウスである。生徒は大きめの家に下宿、各部屋に講師が通ってくる家庭教師のような形式だ。セブ市内では3カ所に展開しており、そのうちの1校では学校内外日本語禁止の完全英語ポリシーを取り入れている。各校を運営する経営母体ストーリーシェアでは、マニラやバギオなどフィリピン各地で姉妹校を展開。生徒にきちんとした文章を反復させるCLメソッドを採用し、代表の松本文夫自ら教鞭を執ることも多い。

 このようにフィリピン留学と一口にいっても、各語学学校の特徴には違いがある。次回連載では引き続き、13年に始動したばかりの語学学校、セブ初のコワーキングスペース、ストリートチルドレンへ音楽教育を手掛けるNPOについて紹介する。
(文=土橋克寿)

post_1863_02.jpg■土橋克寿(どばし・かつとし) / ramyu代表
1986年生まれ。大手証券へ新卒入社後、わずか数カ月で退職。ベンチャー経営誌の副編集長を経て、2013年3月に独立。現在は東南アジアを拠点に活動しながら、複数メディアへ寄稿を行う。ブログ「Build Something!」では、メイカームーブメント(世界のモノづくりベンチャー)について執筆中。

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