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Jリーグ、2ステージ制検討への疑問 複雑化でファン離れ加速の懸念も…世界潮流と逆行

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日本サッカー協会ビル(JFAハウス)
「Wikipedia」より/Dddeco)
「最初の10年で選手がプロになり、次の10年で監督がプロになった。最後に残ったのは、経営者のプロ化問題だ」

 これは元サッカー日本代表監督・岡田武史氏の有名な言葉だが、まさにJリーグ事務局に当てはまる。先日、Jリーグ中西大介競技・事業統括本部長が2ステージ制復活を打ち出したことに、耳を疑った人は多いだろう。
 
 2ステージが世界基準ではない、とバッサリ切り捨てるつもりは毛頭ない。問題は、なぜ今2ステージを採用しようと言い出したのか? 根拠はなんなのかということだ。

 関係者に聞いた話によると、事務局はチャンピオンシップを行うことによるメディア露出を狙っているという。某テレビ局は、「チャンピオンシップなら放映してもいい」と言っているらしい。事務局も「(チャンピオンシップ最後となった)浦和×横浜FMの視聴率は10%を超えた」とうたっているが、ではその前のチャンピオンシップの視聴率はどうだったか。鹿島×磐田戦は数%だったように、地方クラブのファイナルが全国区の視聴率で苦戦するのは、ヤマザキナビスコ杯が物語っている。つまり、2ステージ制にすることで、必ずしも日本代表戦のような盛り上がりをつくれるわけではない。

 メリットが見えてこない半面、2ステージ制のデメリットは明確だ。

 2ステージ制にすることにより、平日の試合開催が増えることが予想されるが、平日開催は観客数が大きく減少する。それは今シーズンも如実に表れている。また、すでに一般層からは「チーム数が多くて覚えられない」と言われているJリーグだが、2ステージ制になれば、チャンピオンシップ以外の仕組みはより複雑になる。

 例えば、ファーストステージで最下位になったチームが、セカンドステージでは優勝争いに絡んだとしよう。勝ち点によっては、優勝争いをしながら、残留争いをすることも考えられる。上位から中位チームが目標としているアジアチャンピオンズリーグの出場権や、下位の残留争いも、年間の順位になるため一目瞭然とはいかない。

 そんな複雑さで、新たなファンを獲得できるだろうか。注目が集まるのは、ファイナルとなるチャンピオンシップのみで、リーグ戦の価値は相対的に低くなり、消化試合が増えることも目に見え、観戦意欲の低下も懸念される。さらにいえば、過去11回行われた2ステージ制では、年間で勝ち点の多かったチームが優勝を逃すケースが7回もあった。

 今回の戦略からは、経営側であるJリーグ事務局が、自らの仕事において楽でわかりやすい、安易な方向をチョイスしたようにしか思えない。

●世界は試合の過密日程解消の流れだが…

 秋春制に関してもそうだ。秋春制採用にJリーグ事務局が本腰を上げたのは、国際Aマッチデーとの兼ね合いや、アジアチャンピオンズリーグが8月開幕の5月決勝に日程が変更になるから。つまり、真夏の連戦からくる選手のコンディショニング、ゲームの質の低下などへの配慮ではない。秋春制になっても、8月にJリーグが集中開催される可能性もある。

 世界では、過密日程が及ぼす選手への悪影響が議論されている。

 ECA(欧州クラブ協会:旧G-14)は国際Aマッチデーの削減を求め、FIFA(国際サッカー連盟)は各国1部リーグを16チーム以下にすべきと主張している。元FCバルセロナMFのジョゼップ・グアルディオラ氏は「16チームでリーグ戦を行うのは悪いことではない。すべてのチームがもっと勝利への意欲を持ってゲームに挑むようになるだろう」と分析している。もちろん、これには是々非々あるだろう。だが、Jリーグ戦略会議では議題とすらなっていないようだ。むしろ、フットボールというエンターテインメントの質を上げるための日程管理ではなく、試合数増加の方向に進んでいる。

 Jリーグ事務局は、いったいどこを見て仕事をしているのか。はなはだ疑問である。
(文=石井紘人/Japan Journal