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B787、運航再開後も相次ぐトラブル発生で、揺らぐ信頼性と客離れ…国内機でも不具合

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ANAのボーイング787機
(「Wikipedia」より)
 ロンドンのヒースロー空港で7月12日夕(日本時間13日未明)、駐機中のエチオピア航空のボーイング787旅客機で火災が発生した。

 出火した航空機は同日、エチオピアのアディスアベバからロンドンに到着。同日夜にアディスアベバに戻る予定で駐機していた。駐機してから火災を検知するまで8時間以上が経過していた。

 英運輸省の航空事故調査局(AAIB)は7月18日、墜落時などに遭難信号を発信する航空機用救命無線機(ELT)のバッテリーが火災の原因になった可能性があるとの中間報告を発表した。同型の装置は、全世界で約6000個が各種航空機に搭載されているという。AAIBはB787に搭載されたELTの使用停止と、B787以外の他機種に搭載しているELTの安全調査の実施を勧告した。

 中間報告によると、火災の被害が最も大きかった機体後方上部に設置されている、米ハネウェル社製ELTの二酸化マンガンリチウム電池に異常が発見された。ELTは客室の天井の裏側に設置されており、周辺に火災報告機や自動消火装置がないため、飛行中に火災が発生していれば「重大な安全上の懸念が生じ、消火作業も困難だった」と指摘した。空の上で航空機が燃えたら逃げ場がない。

 米連邦航空局(FAA)は7月25日、火災の原因とみられているELTを取り外して点検をするよう米国航空各社に求める改善命令を出した。

 これを受け国土交通省は7月26日、全日空と日本航空に対し、保有するB787からELTを撤去するか、入念に点検するよう指示した。全日空の20機と日航の9機が対象だ。ハネウェル社製ELTを搭載した航空機は、B 787のほかにも国内に50機あり、国交省は各社に点検を求めた。

 全日空は国内線で運航するB787からELTを取り外す作業を始めた。これまでも搭載している手動式のELTだけで、当面運航する。一方、日航はヘルシンキ(フィンランド)線など国際線だけでB787を運航しており、今後の各国の対応を踏まえ、路線ごとに取り外すかどうかを検討する。

 ELTの電池は1月にトラブルを起こしたリチウムイオン電池ではなく、マンガンリチウム電池。問題再燃の懸念を示す事実はないとの見方が多い。

 しかし、B787をめぐっては、今年1月に米ボストン空港で日航機のバッテリーから出火したほか、全日空機でもバッテリーから煙が出て高松空港に緊急着陸するトラブルが発生。米当局の指示で運航を停止し、バッテリーの改善を施し、5月に運航を再開したばかりだった。

●運航再開は時期尚早?

 今回、FAAによる運航再開の承認から3カ月足らずで火災が発生した格好となり、「運航再開が早かったのではないのか」という声も出ている。

 米ボーイングの最新鋭機787で、再び火災事故が起きたことは重大だ。原因の究明が急がれる。

 エチオピア航空の火災の原因は不明だが、もし構造上の問題なら、ボーイング社製旅客機の信頼性が揺らぐ事態も考えられる。5月に各国の航空会社へB787の納入が再開され、中国南方航空や英ブリティッシュ・エアウェイズなどに納めたほか、日本航空、全日空も含めて6月末までに16機が引き渡された。B787が再度、納入停止に追い込まれると、経営上の打撃は避けられないだろう。

 最近でも、次のような、B787の飛行中の不具合が報告されている。

 7月18日(日本時間19日)にはボストン発の日航機(乗客184人、乗員12人)で、離陸して1時間後に右側エンジンの燃料ポンプの不具合を示す表示が出た。緊急性はないものの12時間以上の飛行になることから機長らが協議し、ボストンに引き返した。

 7月22日午前6時半(日本時間)にはカナダ上空を飛行中の米ボストン発成田行きの日航機で主翼のフラップ(高揚力装置)の不具合を示す表示が出た。同機は通常運航を続け、同日午後3時頃、成田空港に着陸した。

 航空機は、小さなトラブルが大惨事につながりかねない。トラブルの原因がはっきりするまで、B787を利用するのを控える利用者も増えている。
(文=編集部)