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ネット上で「死ね」書き込みは、「殺害予告」に当たらない?微妙な表現の差が判決を左右

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 他方、原告A社の損害賠償請求については、くだんの書き込みについて「投稿者から悪感情を持たれていると読むことはできるにしても、かかる投稿内容から直ちに、原告A社がその事案に関して尋常でないトラブルを抱えている会社であると読むことができるとは認められない」として、書き込みはA社に対しては不法行為を構成していないと判断し、こう結論付けている。

「本件投稿は、原告B氏に対して一定の恐怖感を与え、原告B氏の名誉感情を害するもの(略)であると認められる(略)被告による違法な本件投稿は、具体性のあるものではないが、平成23年10月14日から同年11月19日までの間に(略)繰り返されたことなどを踏まえると、その慰謝料は30万円と認められるのが相当であり、また(略)弁護士費用は、上記慰謝料の1割に相当する3万円と認めるのが相当である」として、東京地裁民事第5部の杉山順一裁判長は、33万円の支払いを命じた。。

 この判決を受け、B氏は控訴した。控訴状にはこう書いてる。

「『殺す』なら殺意で『死ね』は殺意ではない、という判示は、あまりに形式的である。テレビドラマの殺人犯は、よく『死ねーー!』と言いながら包丁を突き立てている。そのセリフは『殺すーー!』ではない。この一事をとってみても、『殺す』が殺意で『死ね』は殺意ではない、という論理は破綻している。字面ではなく、どのように読みとれるか、によって判断すべきである」などと主張。だが、その後、控訴審判決があり、「本件控訴をいずれも却下する」との判決が下った。B氏の敗訴である。原告側は13年6月19日に最高裁に上告提起もしたが、同日付で上告取り下げとなり、判決は確定した。

 ネット犯罪が増える中で、微妙な表現の差で大きく判決が変わるという事実を、頭の片隅に置いておくといいかもしれない。
(文=佐々木奎一)

BusinessJournal編集部

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