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事故多発に経営悪化のJR北海道、地域観光に貢献で好調JR九州〜明暗分けたものとは?

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JR北海道を単独で民営化したこと自体、無理だったのだ。今からでもJR東日本グループの傘下で経営を再建するべきではないだろうか」

●関連事業強化や多角化で好調のJR九州

 一方で分割民営化後のJR九州は、独占的な市場を持っていたJR北海道以上に厳しい経営環境にあったといってもいいかもしれない。

 九州は一部を除けば、高速道路網の整備が比較的早くから進み、主要都市相互間を結ぶ高速バス路線が開設されていた。しかもJR九州発足後に九州自動車道の全線開通をはじめ、高速道路の新規開通が相次ぎ、九州各地でJR九州の特急と高速バスとの競争が激化。福岡市と北九州市の大都市同士を結ぶ博多駅-小倉駅間では国鉄分割民営化で山陽新幹線が西日本旅客鉄道(JR西日本)の所有となり、JR九州の所有する鹿児島本線とは競争関係となるなど、JR九州は熾烈な競争にさらされてき
た。

 こうした状況の中でJR九州初代社長だった石井幸孝氏は、「部内本位からお客様本位」「系統本位から会社本位」「予算本位から収支本位」など「国鉄流10の反省」を提唱し、自らも精力的なトップセールスを行い、多角化を推進した。

「このときJR九州労組は、労使協調路線をとった。経営陣も従業員も危機意識が強く、自分たちがなんとかしなければならないという気持ちが強かったのだと思う」(JR九州関係者)

 石井はデザイン戦略を経営戦略として位置付け、水戸岡鋭治をデザイナーに起用し、787系電車「つばめ」、883系電車「ソニック」、885系電車「かもめ」、九州新幹線800系電車「つばめ」など多くの斬新なデザインの特急車両を投入。これらの車両はブルーリボン賞、ブルネル賞など国内外の多くの賞を受賞し、JR九州の業績アップの原動力となった。

「水戸岡さんを発掘したのは石原進・現会長です。石原さんは当時、企画室長で福岡地所の社長だった榎本一彦さんから水戸岡さんを紹介され、石井社長に引き合わせたのです」(JR九州関係者)

 また石井は九州新幹線の整備、博多-釜山間の高速船「ビートル』の開設や熊本駅、鹿児島中央駅、由布院駅などの整備や駅舎改装、博多駅コンコースの大改装、「あそBOY」をはじめとする観光列車を次々と走らせるなど、鉄道を通じて九州各地のまちづくりやインフラ整備、および九州観光に大きな業績を残し、国鉄行政改革をJR九州で実践した。こうした石井のDNAは、その後も引き継がれている。

 その「ビートル」や「あそBOY」などの企画を手掛けたのが現社長の唐池恒二氏で、10月に運行が開始され話題を呼んでいる日本初の超豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」を実現した。JR関係者は、「唐池は、石井が社長をやっているころから豪華鉄道の話が出ていたと、のちに語っています」と明かす。

 JR九州広報担当者は、今後の戦略について次のように語る。

「九州は2005年から人口がピークとなり、以後減少していることから、基幹の鉄道事業で収益を拡大することは難しい。よって、鉄道事業では安全とサービスの充実に力を入れ、それ以外の関連事業で収益を拡大するなど、上場に向けて取り組んでいます」

 JR北海道とJR九州の格差は、今後ますます広がっていくのか? JR北海道には一刻も早い経営改革が求められている。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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