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吉田潮「だからテレビはやめられない」(11月24日)

ジャニーズ主演ドラマ総崩れの中、面白くないけどなぜかハマるTBS深夜ドラマの謎

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『変身インタビュアーの憂鬱』公式サイト(「TBS HP」より)
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 今クール(10〜12月期)は、ジャニーズ主演ドラマの惨憺たる状況を「そらみたことか」と思いっきり鼻で笑っているのだが、実はちょっぴり楽しみにしているドラマがある。深夜枠の『変身インタビュアーの憂鬱』(TBS系/毎週月曜深夜)だ。主演はKAT-TUNの中丸雄一。この人はいろいろなドラマに準主役級でよく出ていて、わりとどんな作品にも馴染みがいいタイプ。記憶をたどると、『ラストマネー -愛の値段-』(NHK)、『主に泣いてます』『間違われちゃった男』(共にフジテレビ系)などで、多くは主人公に振り回される善人役をうまく演じていた。

 今回は偏屈な作家という役柄なのだが、何が面白いって変身するシーンである。中丸演じる推理作家・白川次郎は、基本形が長髪&ブサイク&無愛想なキモメンという設定。なんつうか、逃げ延びて蜂に刺されまくった落ち武者みたいなルックスだ。

 ただし、小説の題材となる事件を取材するときは、二枚目の爽やかイケメンインタビュアーに変身して臨む。「たいていの人は外見で左右される」ことを逆手にとり、実在の事件の真相に迫っていくのだ。ま、その変身シーンがとにかく笑えるので、ぜひ一度観てほしい。猫背を矯正するベルト(まるで星飛雄馬の大リーグボール養成ギプス)を背負い、腫れぼったいまぶたにアイプチ(二重にする糊)を塗り、ウザイくらいに長い髪をしゅるるーんとヅラ内に収める。女の化粧もある意味滑稽なのだが、この中丸の変身シーンはなかなかに笑えるのである。外見コンプレックス(いや、本人はコンプレックスと思ってないのだが)をむしろ嬉々として矯正していく姿が妙にツボだった。

 正直、ストーリーはそんなに面白くない。小ネタを入れすぎて、本筋が見えにくくなってしまっている、まさに「蛇足」状態なのだが、たぶんそこも狙いなのだろう。TBSのこの枠「ドラマNEO」はいつもそんな感じだから。新しいテーマに「挑戦している」というよりは「対面逃走」。真正面に向き合いながらも、実は少しずつ後ずさりして小賢しく逃げ腰。その奥ゆかしさと自信のなさ、結構私は好きである。

 ストーリーは微妙でも、出てくる役者がこれまた、いい。中丸に執筆をせっつく編集者・下日山(カヒヤマだが、劇中ではゲビヤマと呼ばれる)役に、木村文乃。文芸担当の編集者にこういう感じの女、結構いるよなあと。真面目と図太さとちゃっかりを兼ね備えた一所懸命さん。意外とリアルである。「行くぜッ東北~こりゃたまらんらん」のCMはイラッとするけれど、基本、木村の芝居には妙に安定感がある。昭和体型なところもカワイイ。