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「政治経済はどうなってる? 近くて遠い韓国“他人の餅” 」第8回

カジノ解禁で、ギャンブル業界全体に規制強化か〜競馬依存者多い韓国は、なぜ規制強い?

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「Thinkstock」より
 カジノ解禁法案を今国会で提出する動きが見られ、パチンコ産業に対する規制問題が取り沙汰されるなど、ギャンブル業界が揺れ動いている。カジノが解禁された場合、どんな事態が起こりうるのだろうか。そんな日本の“近未来”に類似のギャンブル業界を持つのが韓国だ。

 現在、韓国で行われている合法ギャンブルは、カジノ、競馬、競艇、競輪、スポーツトト、宝くじ。日本とほぼ同じだが、韓国のギャンブル業界は、日本以上に厳しい規制を受けているといえる。特に規制が厳しいのは、公営ギャンブルの代表格である競馬だ。

「韓国において、競馬はギャンブルとしての歴史が長いです。1985年に機械化が進んで馬券を自動販売機で購入できるようになって以降、競馬は2000年前後までギャンブル市場を独占してきました。その15年間の“独占時代”、ギャンブルといえば競馬というイメージが染み付き、新聞などのメディアでは『競馬にはまった人が破産・自殺した』とも報じられました。そういったネガティヴなイメージの蓄積があるため、競馬に対する風当たりが強いといえます」

 ソウル競馬場の一角でそう教えてくれたのは、韓国馬事会(KRA)国際協力部長であるチョン・テイン氏だ。チョン氏によると、競馬には、1レース当たりの購入限度額は1人10万ウォン(約1万円)以内、テレビCMの禁止、場外馬券売場の設置数も32カ所以内と、他のギャンブルと比べものにならないほどの厳しい規制が実施されているという。

「競馬の売り上げは年間8兆ウォン(約8000億円)。日本の中央競馬(JRA)の2兆4000億円と比べると、3分の1ほどです。ただ近年、売り上げは下がっており、今年は9月の時点で前年比2~3%減。減少の理由として特に大きいのは、ネット投票が禁止になったこと。2007年に設立された射倖産業統合監督委員会が、ネット投票を許容する法的根拠が乏しいと判断したのです。スマートフォン(スマホ)の普及率が上がった現在、手軽に馬券を購入できるネット投票がないことは、売り上げに悪影響を与えられていると考えざるを得ません。日本では、ネット投票による馬券の売り上げが5割を占めていると聞いています」

 射倖産業統合監督委員会とは、ギャンブル産業を総合的に管理する国務総理直属の機構のこと。ギャンブル産業の健全化を謳ってはいるものの、不法ギャンブルに対する規制よりも、競馬やカジノなどの合法ギャンブルに対する監督と規制を繰り返しており、最近では同委員会廃止の世論も高まっている。

●日韓ではギャンブル依存症の有病率が高い?

 一方で、韓国において競馬は、ギャンブル依存症の有病率が高いというデータがあることも事実だ。チョン氏はその理由を説明する。

「固定ファンが多いという状況にあるからだと思います。というのも、ネガティヴなイメージの強い競馬は新規ファンの獲得が難しく、競馬場を訪れるのは“独占時代”からの常連たち。競馬との付き合いが長いため、結果的に中毒性が高いという数字が出てしまうと考えられます」

 射倖産業統合監督委員会が今年6月に発表したところによると、韓国人のギャンブル依存症の有病率は7.2%に上る。韓国国内では、同委員会の調査方法自体を疑問視する声もあるが、額面通りに数字を受け取ると、アメリカの1.4%、イギリスの0.8%、オーストラリアの2.1%(『第2回依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会』<資料2012年12月21日>より)などに比べて、圧倒的に高いことがわかる。