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激化する次世代エコカー主導権争い、勝敗占うカギとは?東京モーターショーから考える

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「第43回東京モーターショー2013」公式サイトより
 11月23日、東京モーターショーが開幕した(〜12月1日)。1954年に全日本自動車ショウとして日比谷公園で開催されてから今年で43回目を数える。開催が始まった当時は、 大人も子供も外国車のスーパーカーや高級車を見て熱狂した。多くの日本人が豊かな生活を求め、一生懸命に働き、自家用車を手に入れたものだった。広告業界では今でも名広告 として語り継がれている「いつかはクラウン」で知られるトヨタ自動車のクラウンは、多くの日本人にとって憧れとなり、自動車は豊かな生活の象徴となった。

 そして今、日本では若者を中心に車離れが進んでいる。若者は車にステータスを求めなくなり、都会に住む中高年層も車に必要性を感じなくなった。その結果、自動車メーカーは排気ガスの環境への影響も考慮し、製品開発面ではエコカー開発を主軸に据えるようになった。

 その一方、広告やPR面においては若者へ車を運転する楽しさを啓蒙するものが増えた。 かつて人々にとって憧れの存在、豊かな生活の象徴であった自動車の時代は終わったのだ。当然、自動車業界の未来を描くモーターショーも様変わりした。話題の中心となる車も、速い車、見た目がカッコいい車ではなく、環境にやさしいエコカーになった。

 さて今年の東京モーターショー。話題の中心は、世界の中でもエコ技術のトップを行く
日本車だ。日本車同士の主導権争いは今年のモーターショーで最も注目するところ、特に
トヨタと日産の争いからは目が離せない。

 2013年度連結決算で過去最高益更新も視野に入れる絶好調のトヨタは、「FCVコンセプト」を公開した。FCVは、燃料の水素と空気中の酸素を反応させて電気をつくり出し、車を走らせる。二酸化炭素は出ず 、排出されるのは水だけだ。まさに今の日本人が車に期待するもの、そして未来を感じさせるものだ。2015年に市販化するための準備も、すでに進んでいるようだ。

 対する日産はLEAFに代表されるように、電気自動車(EV)を推し進めている。一昨年の東京モーターショーでは、ブースに家を建て、車から家、家から車へと電気のやり取りをする未来の形を見せた。日産だけでなく、国内外の他の自動車メーカーも、次世代エコカーを東京モーターショーの展示車の中心に置いている。

 未来に向けてエコカーが中心になるのは間違いないが、その主役はFCVなのかEVなのか? それとも他の種類のエコカーになるのか?

 これを予測するのにふさわしい前例がある。ビデオだ。ビデオの発売当初、規格にはベータとVHSがあった。性能の良し悪しでは、ベータのほうが画質等で優れていたが、結果的にVHSがスタンダードとなった。VHSの勝利を決定づけた大きな理由の一つが、家庭に普及するための販売網だ。パナソニックを中心としたVHS陣営のほうが販売力で勝っていたため、形勢は徐々にVHS側に傾き、最終的にはベータ陣営の中心的存在であったソニーがVHSの販売を開始したことで決定的となった。

●製品づくり以上に重要なカギとは?

 トヨタは1997年にプリウスの販売を開始し、当初はなかったハイブリッドという市場を完全に定着させた。ただ、ガソリンスタンドでガソリンを入れる必要があるという意味では、インフラ構築という大きな取り組みをせずに済んだ。トヨタは、ハイブリッドカーの製品力を伝えるだけでよかったのだ。しかし、これからの戦いでは、FCV向け燃料を補給するための大規模なインフラ整備が必要となるため、トヨタがプリウスの時と同じ戦い方で次世代エコカーの主役となるほど簡単ではないのだ。