ビジネスジャーナル > 社会ニュース > マー君のメジャー行きが不透明なワケ  > 2ページ目
NEW

楽天・田中将大のメジャー行き、なぜ膠着続く?新ポスめぐる日米野球機構間の攻防

【この記事のキーワード】, ,

 実は、ニューヨーク・ヤンキースやロサンゼルス・ドジャースのような金持ち球団にとって、ポスティングによる戦力補強はメリットが大きい。MLBでは選手年俸の上限が定められており、超過した球団には課徴金「ぜいたく税」が課されるが、ポスティングの入札金は対象外。MLBのFA選手を獲得すると翌年のドラフト指名権を譲渡しなければならないが、それもない。故に田中のような超大物は、金持ち球団によるマネーゲームとなり、今回の入札金は6000~7000万ドル(約60~70億円)程度まで跳ね上がるのは確実、1億ドル(約100億円)もあり得るとされていた。資金力に乏しい球団にしてみれば、「入札」といいながらも不平等であるというわけだ。結果的にNPB側の回答の遅れは、新制度の問題点を議論する機会をつくってしまったことになった。事実、マンフレッドCOOは「オーナー会議までに決めていれば、こうはならなかった」と発言している。

 今後、提案される修正案は、さらに入札金を減額するといったNPBにとって不利な内容が加わる可能性もある。マンフレッドCOOは「ポスティングがない状況は受け入れられる。日本の選手たちはFAになって、MLBでプレーすることができるのだから」と、ポスティング制度の廃止も示唆している。MLB移籍がFA、自由契約のみになり入札金の見返りが得られない事態は避けたいNPBは、とにかくポスティング制度の存続が第一。むしろNPB側から修正案を出すくらいの気概を見せてもらいたいところだが、特に腹案もないようで、田中のことを考えれば時間の猶予もなく、不利な修正案の丸呑みもあり得るだろう。

●先の見えないマー君

 
 日米の交渉が長期化すればするほど、田中にとってはマイナスになる。12月初め、MLBではウインターミーティングが開かれ、ここで各球団はFA、トレードなどの補強を行う。今オフは先発のFA市場が手薄とはいえ、補強がほぼ終わり、新戦力が確定した後では入札金が予想より低くなることもあるだろう。

 MLBの新制度に関する修正案は年内には出るとされているが、そこからNPB側が協議し、新制度の発効は年を越しそうだ。入札から落札までが約2週間、契約交渉が1カ月程度かかるとすると、交渉が順調に進展したとしても、今オフの移籍はスケジュール的にはかなり厳しい。

 いずれにせよ新たなポスティング制度がまとまらない限り、田中のMLB入りの道は閉ざされたまま。野球選手として脂の乗り切った25歳の右腕が、来季立つマウンドはアメリカなのか、日本なのか。先が見えない状況が続く。
(文=石川哲也/Sportswriters Cafe)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

楽天・田中将大のメジャー行き、なぜ膠着続く?新ポスめぐる日米野球機構間の攻防のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!