ビジネスジャーナル > 社会ニュース > カジノ解禁法案、山積する課題  > 3ページ目
NEW

カジノ解禁法案、山積する課題~誘致や悪影響の具体的規定なく、甚大な社会的損失懸念も

【この記事のキーワード】, ,

●徹底した審議が必要

 筆者は、法律によって「賭博に関連する公正な社会秩序」(カジノ解禁の実質的な正当化根拠)を確保でき、かつ、国民が(十分な情報を提供された上での)熟議の結果、総体として、メリット(雇用増、税収増、財政改善、観光振興、国際的大規模会議誘致、新たな文化の発信など)がデメリット(依存症患者や多重債務者発生のおそれ、勤労の美風への影響など)を上回ると判断したならば、カジノを解禁してもよいと考えている。

 しかし、現状のカジノ解禁推進法案のみを前提とすると、「賭博に関連する公正な社会秩序」を確保できるかどうかは不透明であり、白紙委任に近い状態で、カジノを解禁するという結論だけを先に決めることになりかねない。例えるなら、具体的な内容の契約書もなく、どのような構造やデザインの建物が建つかわからないのに、先に高いお金を払って、とにかく巨大な建物の建築を業者に発注するような状態である。

 よって、国会における徹底審議を強く求めたい。議連が発表している上述の「特定複合観光施設区域整備法案」は、(カジノを民営で解禁するという前提に立つならば)概ね合理的な内容となっている。そこで、この一部について、国民との約束事として法的拘束力を持たせ、国民の懸念を払拭するべく、カジノ解禁推進法の条項に盛り込むことを検討してもよいのではないか。民営賭博を特別法で解禁するのは、我が国初の法制であるので、高い法技術性・専門性が求められる立法作業ではあるが、しかるべき法律専門家が関与すれば、十分に可能である。
(文=山脇康嗣/弁護士)

●山脇康嗣(やまわき・こうじ)
1977年大阪府生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科専門職学位課程修了。東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、弁護士登録。入管法のほか、カジノ法制に詳しい。現在、第二東京弁護士会国際委員会副委員長。主要著書として、『詳説 入管法の実務』(新日本法規、単著)、『入管法判例分析』(日本加除出版、単著)、『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規、編集代表)、『事例式民事渉外の実務』(新日本法規、共著)、『こんなときどうする外国人の入国・在留・雇用Q&A』(第一法規、共著)がある。

東京都千代田区内幸町1丁目1番7号NBF日比谷ビル16階
さくら共同法律事務所
HP:http://www.sakuralaw.gr.jp/profile/yamawaki/index.htm
E-mail:yamawaki3@gmail.com

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

カジノ解禁法案、山積する課題~誘致や悪影響の具体的規定なく、甚大な社会的損失懸念ものページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!