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リニア新幹線、採算は取れるのか?巨額建設費と債務を一社負担、コスト上昇、運賃収入…

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 リニア中央新幹線のビジネスモデルは東海道新幹線と同じである。内部留保(利益剰余金)と借金で建設費を賄い、運賃・料金収入でそれを回収するというものだ。JR東海の9月末時点の内部留保は1兆5841億円と厚いが、一方で借入金・社債・鉄道施設購入長期未払金の有利子負債として2兆6022億円を抱える。来期にリニアに着工すれば、借入金はさらに増える。全線開業時の債務は5兆円程度に膨らむ見通しだ。ここに安倍晋三政権が掲げる2%の物価上昇がもし実現すれば建設費は高騰し、金利も上昇する。

●第2のJAL化を懸念する声も

 一方で、運賃収入は東海道新幹線開通時のようにはいかない。リニアを開業しても既存の新幹線から乗客がシフトするだけで、東海道新幹線開通時ほど大きな運賃収入は見込めないといわれている。最悪9兆円に上る巨額建設費を回収できない場合、JR東海は過剰債務を抱えた旧国鉄に逆戻りする危険性を指摘する声も上がっている。JR東海の山田佳臣社長は「リニアだけでは絶対にペイしない」(9月18日の記者会見)と発言しているが、JR東海も「リニア単独での投資回収を目的とする計画ではない。新幹線の経年劣化と大規模災害に備えるために大動脈を二重化する」との公式見解を示している。

 また、全国的に広がる原発停止も影を落とす。リニアの消費電力は新幹線の3倍といわれており、葛西会長が「全原発の再稼働」を主張するゆえんでもある。

 リニア建設・運営の採算が取れずJR東海の財務を圧迫することで、同社が一時経営破綻したJALと同じ道を行く可能性を懸念する声も上がる中、果たしてリニアはさまざまな懸念や批判をはねのけ、事業として成功するのか? 日本中の注目が集まる中、間もなく着工を迎える。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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