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現役外科医師が明かす、過酷な医療現場・病院・研修医生活の裏側と、医師の“つくり方”

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「Thinkstock」より
 今クール(10〜12月期)で放送され高視聴率をマークしている連続テレビドラマ『ドクターX 外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)。米倉涼子演じる主人公・大門未知子が次々に難しい手術を成功させていく爽快なストーリーが人気を集める一方、ドラマの中で描かれる、出世競争が激しい医師の世界や、過酷な医療現場の実態などが話題を呼んでいる。

 実際にメディアでも、医師・看護師不足や医療過誤訴訟の増加、最新医療の発達に対応しきれていない医療制度の弊害などがしばしば報じられ、「医療現場を取り巻く環境はますます厳しくなっている」(医療関係者)との声も聞こえる。

 そんな医療現場の要となる医師であるが、晴れて一人前の医師になるまでには、6年間の大学医学部での勉強、そして国家試験合格後に約2年間続く研修医時代を経なければならない。特に研修医は、長時間労働などその過酷な生活が知られているが、その実態を現役外科医師が赤裸々に描いた著書『東大病院研修医』(中公新書ラクレ)が今、話題を呼んでいる。

 今回は本書の著者・安川佳美氏に

「過酷といわれる研修医の実態とはどのようなものなのか?」
「知られざる医療現場、そして病院の裏側とは?」
「どのように一人前の医者は“つくられる”のか?」

などについて聞いた。

--今回、本書を書こうと思ったのはなぜですか?

安川佳美氏(以下、安川) 私自身が研修医になってみて、「研修医は何者か?」ということが、あまり世間の人々に知られていないんじゃないかな、と思ったからです。「大学病院で受診する際に医師の後ろで見学している若い人たち」というくらいの認識はあるのでしょうが、たまに「研修医って医師免許のない見習いでしょ」などと言われることがあります。違うんですよ、研修医もちゃんと免許を持った医師です。ただ、医師の世界の中では下っ端で、楽しいことなんてほとんどない(笑)。一般にはエリートに見られるかもしれませんが、けっこう過酷なのです。

--医学部卒業後は2年間、いろんな診療科を回るのでしょうか?

安川 初期研修といって、2~3カ月ずつ次から次へと科を流浪します。あれこれ見てから自分が専門とする科を決めるシステムですが、かつて多かった「専門外の患者は診ない」という医師を減らすためでもあります。その2年間が終わったら、自分が選んだ科で専門研修に入ります。科によって、大学を離れる期間なども異なってきますが、私の所属する外科では、3~5年目くらいまでを外部病院で修行するプログラムになっており、今はその最中です。

--いくつもの科を経験して、一番インパクトがあった科はどちらですか?

安川 どこが一番とも言いがたいのですが、産婦人科は「無事に産まれて当然」というプレッシャーとの戦いでしたね。でも、実際には赤ちゃんが亡くなって産まれる死産もあるわけです。研修先で最初の当直だった夜、入院していた妊婦さんが死産でした。外見も内部も未熟なままの胎児が産まれ、お母さんは「よくがんばったね、ありがとう」と声をかけていました。下っ端の私は、病室のすみのほうでなんとも言えない雰囲気を味わいました。