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危険な中国産食品、なぜ日本で流通?検査率わずか1割、ずさんな食品検疫体制の問題点

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 残留抗生物質・合成抗菌剤使用も深刻な事態となっている。水産物の養殖では、日本では禁止されている発がん性のある合成抗菌剤マカライトグリーンが使用され、現に日本に輸出されている養殖ウナギから検出されている。また、ブロイラーなど家畜にも抗生物質や合成抗菌剤、ホルモン剤が使用され、検出されている。

 重金属汚染も問題となっている。中国政府も13年に23省5自治区に「がんの村」があることを認め、鉱山などから排出されるカドミウム、ヒ素、ニッケル、六価クロム、鉛、水銀、亜鉛などの重金属に河川、地下水、農地が汚染されている実態が明らかになった。

 アフラトキシンはカビ毒であり、自然界で最強の発がん物質で、人に肝臓がんを引き起こす。熱帯性のカビだが中国でも発生しており、特にコメや落花生が汚染されやすい。

 ウイルス汚染は、水産物汚染が主体である。A型肝炎ウイルスやノロウイルスなどによって貝類などが汚染されている。A型肝炎ウイルスは潜伏期間が1カ月もあり、発症しても汚染物質の特定が困難という厄介なウイルスであるが、日本には常在していないウイルスであり、中国産貝類などが汚染されている。

 違法食品添加物で世界に衝撃を与えたのが、粉ミルクに有害物質メラミンを意図的に混入していた事件であった。メラミンは、接着剤などに使われる窒素化合物で、人が摂取すると膀胱結石などを引き起こすとされている。それをタンパク質を多く含有しているように偽装するために、牛乳に添加していたのである。粉ミルクによるメラミン被害は、中国国内では30万人ともいわれている。

●中国政府も問題視、増加する自国産食品関連事件

 13年7月の人民日報海外版では、中国最高人民法院と中国最高人民検察院が共同で記者会見し、典型的な食品犯罪事例を発表したことが報道されている。それを見ると興味深い事例が列挙されており、以下にいくつか紹介してみる。

「02年、被告人は食用アルコールに水道水、トウモロコシ酒、サイクラミン酸などの原料を混ぜて白酒に配合し、トウモロコシ酒と称して売りさばき暴利をむさぼった」

「10年11月より、被告人陳開梅は、(略)病死豚を買い付け、毎月3万3600円の報酬で被告人張可を雇い、病死豚を(略)養豚場に運搬し、(略)食肉処理させた後、(略)販売し、(略)約202万円の違法所得を得た」

「09年7月より11年7月まで被告人は、済南格林バイオエネルギー有限公司の油脂がレストラン厨房の廃棄油を加工して作られたものであることを知りながら、被告人袁一に販売し、(略)袁一は、(略)不法に加工した油脂を瓶に詰め、周辺の工事現場の食堂・屋台・油条(揚げパン)屋台などの事業主に、(略)販売した」

 最高人民法院の孫軍工報道官は、次のように食品犯罪について述べている。

「現在、食品の安全を脅かす刑事事件の数は大幅に上昇しており、時には重大・悪質な食品安全犯罪事件も発生している。例えば、毒粉ミルク・毒もやし・廃棄油・問題のあるカプセル・病死した豚の肉など一連の事件で、一般市民はこれらに対して猛烈に反発している」

 中国政府自身が、中国における食品の安全性問題が、深刻な事態になっていることを自認しているのである。
 
 このような中国食品の安全性問題を、私たちはどう受け止めるべきなのであろうか。

 冒頭で見たように、日本においては米国産農林水産物・食品に次ぐ輸入金額となっている中国食品は、私たちの食生活に浸透しており、日本国民として、その安全性は、決して軽視できるものではない。しかしながら、中国食品の安全性の確保は、第一義的に中国政府の責任であり、日本国民としては、それを見守るしか手はない。もちろん、日本に輸出される中国食品は、その主要なものは日本の企業による開発輸入であり、輸出企業が日本に輸出する食品の安全性を保障すべきものである。現に、中国食品の安全性を強調する論者は、日本向けの中国食品は、管理された農業で生産されており、問題のないことを指摘している。

 しかし、農産物は、いくら管理した農場で生産しても、天候による凶作を避けることができない。需要が一定であれば、凶作による品不足を避けるために、中国国内市場で農産物を確保することは容易に想定できる。それらの農産物の安全性が保障されたものでないことは言うまでもない。

BusinessJournal編集部

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