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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第59回

腐敗の元凶、巨大新聞2社の社長を引きずり下ろす~新聞業界のドン、勝負は株主総会

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「OKするのは『深層キャッチ』と『週刊真相』の取材を受けることだけです。会長の救済ファンド構想に僕らが手を貸す話はペンディングですよ。深井君も同じだよな」
「そうです。今の新聞社という器を残すことには懐疑的ですし、残すにしても、腐った人を追放するのが先決です。救済ファンド構想は追放できた後の話ですね」

 深井は吉須に同調した。すると、太郎丸が二人を交々みて言い返した。

「そんなことはわかっちょる。松野君と村尾君の二人は必ず、追放しよるから心配せんでええ。すべてはそれからじゃ」
「わかりました。でも、もっと決定的な写真が欲しいですね。今ある写真だけじゃ、逃げられる恐れがあります。ねえ、吉須さん」

 頷いた吉須をみて、太郎丸がまた反論した。

「わしはそうは思わん。8割方、行けよると思ちょるが、探偵の調査はしばらく続けよるけんのう。もっとええ写真が撮れればじゃな、それに越したことはないわな」

 太郎丸が腰を浮かせると、今度は深井が若女将を呼ぶのを止めた。

「ちょっと待ってください。実は、先週の月曜日、大都の松野(弥介)と日亜の村尾(倫郎)さんが水天宮裏の割烹で密談していた可能性があります。何か極秘に話していることがあるんじゃないですか」
「3年前、日亜の前社長の富島(鉄哉)君から相談を受けよった松野君が村尾君を後任に推したちゅうのは有名な話じゃ。村尾君は恩義を感じちょるから、二人は月1回くらいのペースで密会しよる。1年半前のネット新聞の共同開発もその中で実現したんじゃな」
「じゃあ、密会しても不思議はないですね」
「じゃがな。今、二人が共同開発の先の話をしちょるのは間違いないんじゃ。この件もいずれ話しちゃるけん、待っちょれ。3月中にもう一度、打ち合わせ会をやるよってな。今日はもうお開きじゃ」

 太郎丸はそう言って手を叩き、立ち上がった。
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

【ご参考:第1部のあらすじ】業界第1位の大都新聞社は、ネット化を推進したことがあだとなり、紙媒体の発行部数が激減し、部数トップの座から滑り落ちかねない状況に陥った。そこで同社社長の松野弥介は、日頃から何かと世話をしている業界第3位の日亜新聞社社長・村尾倫郎に合併を持ちかけ、基本合意した。二人は両社の取締役編集局長、北川常夫(大都)、小山成雄(日亜)に詳細を詰めさせ、発表する段取りを決めた。1年後には断トツの部数トップの巨大新聞社が誕生するのは間違いないところになったわけだが、唯一の気がかり材料は“業界のドン”、太郎丸嘉一が君臨する業界第2位の国民新聞社の反撃だった。合併を目論む大都、日亜両社はジャーナリズムとは無縁な、堕落しきった連中が経営も編集も牛耳っており、御多分に洩れず、松野、村尾、北川、小山の4人ともスキャンダルを抱え、脛に傷持つ身だった。その秘密に一抹の不安があった。

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週1月24日(金)掲載予定です。

BusinessJournal編集部

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