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厚生年金、350万人未加入の衝撃~老後無年金者増加の懸念、意図的な悪質事業者も

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●老後の無年金や生活保護につながる懸念も

 では、厚生年金に入るべき会社員が厚生年金に加入できない状況は、何が問題なのか。

 「年金未納は低年金・無年金につながり、老後の生活保護につながるということです。生活保護はすべて税金で賄われています。今、生活保護受給者のうち60歳以上が5割以上になっています。現状は国民年金が“非正規雇用不安定年金”と化しています」

 そもそも、国民年金は自営業者のために設計されて始まった制度だ。自営業者には定年がなく、店舗などの資産を持っている人も少なくないので、年金だけで暮らすということは想定されていなかった。月額の保険料は固定で金額が抑えられたかわりに、受給する年金額も低いものになった。

 「現在、国民年金加入者のうち、自営業者とその家族は2割程度。いつの間にか自営業者のための制度ではなくなってしまいました。加入者の8割は無職や非正規雇用者、そして会社で働いている人です。国民年金の未納問題が取り沙汰されますが、実は自営業者の未納は多くありません」

 国民年金は40年間払い続けても、受給額は満額で月6万5000円程度。しかし、満額でもらっている人は少なく、受給者の34%は月額4万円未満だ。仮に満額でもらっても、それだけではとても生活できるレベルではなく、生活保護をもらったほうが得だと考える人がいても不思議ではない。

●社会保障の2025年問題

 少子高齢化問題はますます深刻化していく。長妻氏は、日本社会はすでに“今そこにある危機”に直面しつつあるという。

 「団塊の世代全員が75歳以上になるのが2025年です。75歳以上は後期高齢者だから体力も急に落ち、介護が必要な人も急に増えるでしょう。団塊ジュニアは10年後には40代後半です。最も働き盛りなのに、介護離職せざるを得ないという人も増えるでしょう。そして、40代後半だと子どもは大学生くらいだからお金もかかる。介護はいつまで続くかわからないから、例えば50歳から10年間介護していたら、そのまま年金世代に入ってしまう。年金もらいながら親の介護するような人も出てくるかもしれない」

 暗澹たる気持ちにさせられる未来像だが、現在でも「介護離職」する人が後を絶たないのが現実である。今回みてきた現実を踏まえた社会保障をめぐる国民的議論が、待ったなしで求められている。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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