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「毎週訪れ、決まった席で……」日本人料理人が明かした“ジョブズの素顔”

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※画像:『ジョブズの料理人』著:編集・著、佐久間俊雄、佐久間恵子/日経BP社

 シリコンバレーにスティーブ・ジョブズが毎週通い続けた和食店があったという。

 その店の経営者であり、寿司職人でもあるのが佐久間俊雄氏だ。和食店の寿司カウンター越しに佐久間氏は、ジョブズのどんな素顔を見たのだろうか。

 2011年、店を閉める決心をしたとき、ジョブズは佐久間氏にアップルの社員食堂で働かないかと声をかけたという。本書『ジョブズの料理人』(日経BP社出版局/編集・著、佐久間俊雄、佐久間恵子/取材協力・その他、外村仁/序文・その他、日経BP社/刊)では、ジョブズがそこまでこだわった料理人の生き方、素顔のジョブズをさまざまなエピソードを交えて紹介する。

 米西海岸のシリコンバレーに和食店「桂月」はあった。26年に渡り、佐久間氏がシリコンバレーで切り盛りする3軒目の店だった。ここの常連客だったのが、ジョブズだ。ジョブズは、寿司カウンターの前に並ぶ6つの席のうち、カウンター内側から見て左手奥の「1番」がお気に入りだった。来店するといつも「ハーイ」と佐久間氏や店員に声を掛ける。そして、すたすたと「1番」に向かって歩き、自分の指定席のように腰を下ろす。そこから店内を見回すのが好きなようだった。先客がいて「1番」がふさがっていると、きっと睨みつけ、目に見えて不機嫌になってしまうことさえあった。

 ジョブズはどのような寿司ネタを食べていたのだろう。ジョブズは、佐久間氏の店に通うようになった当初はまだ「初心者」だった。注文するのはいつも、お新香やかっぱ巻き、梅しそ巻きなどの巻物ばかり。たまにウナギを注文することがある程度で、生魚には、最初、ほとんど手を出さなかった。それでも、週に1度は持ち帰り寿司の注文をして、約束の時間よりも早く到着し、佐久間氏のすぐ横に立ち、握っている手元をじっと見つめていた。こうした何かを観察するようなしぐさをするのを、この後も何度も目にしたという。
 その後、生魚にも手を伸ばすようになったが、それでも口にするのはトロ、サーモン、ハマチといくつかのネタに限られていた。「ハマチを5つ」「サーモンを5コ」といった注文の仕方がほとんどだった。ジョブズは好き嫌いがはっきりしていることがよく知られているが、そうした姿勢は寿司屋においても貫かれた。同じネタを2貫注文して、わざわざ1貫残したままにしておいたり、海藻サラダもいつもと違って少々凝った盛りつけをするといっさい手をつけなかったりする。自分の中にはっきりとした判断の基準があり、少しでも気に入らないと一瞥もしない頑固さがあった。

 佐久間氏の目から見ても、ジョブズは、やはり独特な世界観、こだわりを持っていたようだ。半導体産業と関わりが深く、インターネット関連などハイテク産業の集積地として世界的に有名なシリコンバレーで、26年間、寿司職人として、経営者として、佐久間氏が見てきた世界はどんなものだったのか。常連客として来ていたジョブズはどんな人だったのか。シリコンバレーにあった寿司カウンターから見た世界を垣間見ることのできる1冊だ。
(新刊JP編集部)

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。