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商品販売やCM放送の中止、なぜ続出?増大する視聴者・消費者の発言力、過剰な反応の企業

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「Thinkstock」より
 大手コンビニエンスストアチェーン・ファミリーマートは1月24日、28日から販売予定としていた「ファミマプレミアム黒毛和牛入り ハンバーグ弁当〜フォアグラパテ添え」の発売を取りやめると発表し、これに対する賛否の声が各メディアを賑わせている。

 ファミマが10日に同弁当の販売を発表し、新聞やテレビで紹介されたところ、「フォアグラは飼育方法が残酷な食材なので、弁当に使わないでほしい」などという意見が24日昼までに22件寄せられたという。これに対しネット上では、「たった22件の抗議で販売を中止するのか」「フォアグラの飼育方法をファミマは知らなかったのか」といった意見が飛び交っている。

 フォアグラは、ガチョウやカモなどに無理やり大量の餌を体の奥へ流し込み、脂肪肝の状態にした肝臓で、フランス料理などに使われる食材。ヨーロッパを中心に規制の動きもある。

 ファミマは発売中止に至った経緯についてHP上で、「フォアグラは日本国内においては一般的な食材ではございますが、お客様から頂戴したご意見や諸外国におけるフォアグラに対する見解の違い、フォアグラ自体の生産過程なども踏まえ、弊社内で慎重に検討しました結果、当該商品の発売を見合わせることとなりました」としている。

 ネット上では、発売中止に追い込んだ抗議に対して批判的な意見が大勢を占めている。ホリエモンこと堀江貴文氏も抗議に屈したファミマを批判する意見をTwitterでつぶやき、多くの賛同する意見や反論も出ている。

 ファミマに抗議を申し入れたとしている動物愛護団体のアニマルライツセンターは、発売中止の発表を受けて、Facebook上で「ファミリーマートがフォアグラ入の弁当の発売を中止しました。皆様ご協力ありがとうございました」とコメントを発表し、「ネットでは『何でもゴネれば発売禁止に出来てしまう社会』『行き過ぎた抗議』などの発言も見られますが、やり過ぎなのはフォアグラの生産方法であって、このように残酷に作られた食べ物に対してゴネもせず、抗議もしない社会に、未来はありません」と反論している。

●ANAもCM打ち切り

 また、航空会社・全日本空輸(ANA)も視聴者からの抗議を受けてCMを中止したことが話題になっている。タレントのバカリズムが金髪のかつらと付け鼻で日本人のイメージする白人を模した格好で登場するのだが、このCMは人種差別だとする批判が、外国人視聴者を中心に同社に多数寄せられたため、打ち切りを決定したと同社は認めている。

 同様にキリンビールも23日、外部からの指摘を受けてCMの打ち切りを発表した。カエルのキャラクターが登場する缶チューハイのCMが、「キャラクターを使った表現方法が未成年者の関心を誘い、飲酒を誘発しかねない」と指摘されたから、というものだ。キリンは「指摘を真摯(しんし)に受け止めた。CMに関する社内基準を厳しくして再発防止に努める」と説明している

●ドラマや映画にもクレーム

 今クール(1~3月期)の連続テレビドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)においても、視聴者からの抗議が話題を呼んでいる。ドラマの内容が、児童養護施設やそこで育った子どもに対する偏見を助長するとの批判が殺到し、同番組のスポンサー8社すべてがCM放送を見合わせることを発表し、各方面で物議を醸している。

 昨年は、スタジオジブリ製作映画『風立ちぬ』(東宝)の中における喫煙シーンを日本禁煙学会が批判したことが、波紋を呼んだ。

 テレビ業界のCM事情に詳しい広告関係者は、「かねてから視聴者や外部団体からの指摘を受けてCMが打ち切られることは少なからずありました。しかし最近は、以前であれば聞き流していたようなクレームにまで企業が過敏に反応しているような傾向があります。ネットやSNSの普及により、企業に対してクレームをつけやすくなったことや、たった一言つぶやいたことが簡単に世間に拡大するなど、視聴者の発言力が大きくなっていることが一因と考えられます」と分析している。

 映画やドラマにおいては、表現の自由という大義が表に立ち、その内容が変更・修正されるところまでは至っていないが、企業のイメージ戦略において重要な位置付けをなすテレビCMに関しては、各企業が視聴者の反応にナーバスになり、対応に頭を悩ませていることがうかがえる。
(文=マサミヤ)