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マック再建策の家族客重視、巨額広告で「子どもの舌」狙う長期大戦略への原点回帰?

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東京都内のマクドナルドの店舗(「Wikipedia」より/Paul Vlaar)
 客数減少が深刻な日本マクドナルドホールディングス(HD)は、経営の見直しを迫られている。2月6日発表の2013年12月期の連結決算は、既存店の客数は7.0%減で、客単価が上昇したにもかかわらず、売上高は6.2%落ち込むことになった。他の外食チェーンやコンビニエンスストアとの競合が厳しく、顧客流出に歯止めがかからない状況が続く。

 2月19日、日本マクドナルドHDは、社長兼最高経営責任者(CEO)に中核事業会社である日本マクドナルド(以下、マクドナルド)のサラ・カサノバ社長が就く人事を発表した(3月25日付就任)。原田泳幸会長兼CEOは、代表権を持たない専任の会長になる。

 14年12月期の経営戦略では、業績不振を受け不採算店など143店を閉鎖、200店を改装。もともとの強みだった家族客を増やす「原点回帰」策を打ち出している。

 カサノバ新社長は、「キッズ&ファミリーは非常に重要な分野。さらに強化したい」としているが、この経営再建に向けた戦略を読み解くためには、マクドナルドの原点を理解しておく必要がある。

●「女」と「口」がターゲット

「商売には究極のところターゲットは2つしかない。『女』と『口』を狙う商売である。(略)女は稼ぐ苦労を知らないからムダな金を使う可能性がある。商売とは、他人の金を巻き上げることだ。儲けようと思えば女を狙い、女の持っている金を奪うことである」というのは、日本マクドナルドの創業者、故藤田田氏(通称:デン藤田)だ。

 戦後、輸入雑貨販売店「藤田商店」を設立、1971年に当時アメリカ最大のハンバーガーチェーン・マクドナルド社と提携し、日本マクドナルドを創業。ハンバーガー文化を日本に広めた功労者だ。翌72年には、その経営思想をまとめたビジネス書『ユダヤの商法』(ベストセラーズ)を出版し、ベストセラーになった。その後もビジネス書を数多く出版し、その影響を強く受けた学生時代の孫正義氏(ソフトバンク社長)が面談を熱望。何度かの門前払いを受けるが、ついに面談が実現した際に藤田氏よりアメリカでコンピューター関連を学ぶように助言され、それが現在のソフトバンクが生まれるきっかけとなったというのは有名すぎるエピソードだ。

 その後、マクドナルドは大成功を収め、90年代後半からの不況期には、「デフレ時代の勝ち組」とまで言われたが、値下げによる消費者離れ、円安やBSEの影響もあり、01年に創業以来初の赤字に転落。02年には藤田氏は社長を辞任することになる。そして、マクドナルドの経営は藤田商店から米国マクドナルド社の直轄になった。

 藤田氏の著書第一作目となる『ユダヤの商法』は、そのタイトルから強烈な印象が残るが、経営的には実に示唆的なことが含まれており、マクドナルドの原点が見えてくる。なお、同書は絶版になり、のちに『勝てば官軍―成功の法則』(ベストセラーズ)とタイトルを変えて96年に再構成・出版されている。

●子どもの舌に覚えさせる長期戦略

 先ほどの引用は『勝てば官軍~』の中の「『女』と『口』を狙え」という文章だが、周到に計算された藤田氏のマクドナルドの戦略が見えてくる。「戦後長い間、ハンドバッグやダイヤモンドなど『女』を狙う商売をやってきた」という藤田氏は、日本マクドナルドを創業したが、商売の究極のターゲットである「女」と「口」の両方を狙った商売だと解説する。

「『口』に入れるモノを扱う商売は、さしたる商才を必要とはしない。会社勤めにあきたらず、脱サラを夢見る人のほとんどがまず、『喫茶店でもやるか』『ラーメン屋でもやるか』と考えるように、だ。口に入ったものは必ず消化され排出される。(略)つまり、口に入れられた商品は刻々と消費され、何時間か後には次の商品が必要になってくる。(略)太古の昔から『口に入れるモノを扱う商売』はかならず金が入って儲かる商売なのである」

「ハンバーガーは直接的には『口』を狙った商品である、だが、しかし、わたしが意図的に狙ったその『口』は単なる『口』ではない。グルメブームでもわかるように、食の流行は女が男をリードする。男は女が『おいしい』といえば、そうかと思ってついていくものだ。わたしが狙ったのは『女の口』、正確にいえば『女』と『口』である」