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クールジャパン、支援機構始動で海外展開の勝算は?巨額税金投入、ファンド出身者主導…

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 アニメやドラマなどコンテンツを保有するフジテレビを傘下に持つフジ・メディアHDは飯島氏を同機構会長に送り込んだ。各局のテレビ番組やアニメを配信することになる。社長の太田氏は海外で放送枠を複数買い取り、日本のコンテンツを配信することを“空中戦”と呼び、コンテンツ自体の売り込みは“地上戦”と位置付けている。地上戦では日本の食や製品を売るジャパンモールに投資する。地方にある隠れた特産品などを発掘し、セットにして世界に売り込む。

 地上戦の第1弾は、シンガポールなどアジアの主要都市にある大型商業施設の一角を借り上げるか、ビル一棟を購入して日本食や特産品を扱うデパートを展開する計画だ。若者向けの衣料など、日本の文化に関連した商品も販売する。14年3月までに出店先を決め、民間企業の出資を募り、現地企業との合弁のかたちで1号店を出す。これに同機構は100億円程度出資する。

 松屋が常務の太田氏を社長に送り込み、大手百貨店各社がクールジャパン機構に出資している理由は、食と製品のショッピングモールに注目しているからだろう。

 13年はアベノミクスを後押しするために、官民ファンドの設立が相次いだ。同機構はリスクが高い分野に率先投資することで、民間資本の呼び水となる役割を担う。これ以外にも、民間資金等活用事業推進機構や農林漁業成長産業化支援機構などが創設された。

 官民ファンドは金融機関に代わってリスクマネーを供給することになる。銀行は新しい自己資本比率の規制強化で、中堅・中小企業への融資には慎重にならざるを得ないからだ。

 クールジャパン機構が想定している投資対象は、海外進出を計画している中堅・中小企業だ。銀行から投融資してもらえない、食やファッション、ゲームなどを手掛ける企業を想定している。年率7~9%のリターンを確保するとなると、それだけリスクは高くなるが、関係者からは早くも「300億円の税金を投入する国家的事業が、不良債権の山を築かないという保証はどこにもない」との懸念の声も聞こえてくる。巨額の税金を投入した同機構が主導するクールジャパン推進が、日本の多彩なコンテンツの海外進出を加速させ、より大きなビジネスを生み出すことにつながるのか。アジア各国が日本同様にコンテンツ輸出に力を入れる中、残された時間は少ない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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