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同性間で子どもをつくることはできる?検証のための基礎知識~iPS、ES細胞

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●多機能なES細胞

 その一方で1981年に、とんでもないモノが発見されました。ES細胞です。

 受精卵の、胚盤胞から取り出された内部細胞塊――「受精卵から分化がちょっと進んだ時点の細胞」という理解でいいです――を培養した細胞で、これが多能性幹細胞と呼ばれるものです。

 このES細胞を、先ほど説明したオーガナイザーにつけると、原理的にはどんな臓器も思いのままにつくれてしまうことになります。

 ただ、ちょっと引っ掛かる点もあります。

・ES細胞は基本的には、受精卵からしか取り出せない。しかし、この受精卵は、当然、私の受精卵ではない。ES細胞からつくられた臓器を私に移植しても拒絶反応は生じる。
・ES細胞を取り出すことは、受精卵を破壊することである。これは、「これから生まれてくるはずの生命の破壊」ともいえる。

 前者に関しては、たとえ夫婦の受精卵を使ったとしても、完全一致のDNAは50%ですから、拒絶反応を免れるとはいい切れません。

 後者に関しては、特に中絶はもちろん避妊すら否定するバチカンは、ES細胞の研究開発には猛反対を続けてきました。米国も、大統領見解(『クローン技術の可能性』<サイエンティフィック・アメリカン編/日本経済新聞社>)を出すなどして、相当に注意深く取り扱っていました。

 とにかく、ES細胞の研究は、「試験管ベビー」と同様に、倫理や宗教の問題と絡み合って、進めにくい環境にありました。

 ならば「受精卵を使わないES細胞」のようなものをつくれれば、文句はあるまい――と思った人は、世界にたくさんいたと思うのですが、これを本当に実現してしまった人たちがいました。それが、山中伸弥教授のチームです。

●常識をひっくり返したiPS細胞

 さて、先ほど、60兆個のすべての細胞の核には全部同じDNAが入っていると説明しました。60兆もの設計図をコピーするのは膨大な無駄のようにも思えますが、よく考えれば、これが一番簡単です。皆さんも、友人にテスト前にノートを借りたら、まず全部コピーしましたよね(ちょっと、お金がかかるけど)。で、その後、テスト範囲のところだけ勉強していましたよね。

 それと同じです。生物の細胞も、その「とりあえず全部コピー」の戦略を取った上で、テストの出題範囲以外のところは、『墨で塗り潰す』ということをやったのです。

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