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ブームのトクホ飲料、その効果に専門家や消費者から疑問続出~業界主導のトクホ許可

文=松井克明/CFP
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●重宝される難消化性デキストリン

 食物繊維で重宝されている成分のひとつが、難消化性デキストリンだ。

「食物繊維の中にはもっと効果があるものもありますが、そういうものはドリンクにしにくいんです。(略)溶液にするために、大きな食物繊維を低分子化して小さくして、水に溶け、かつ効果が出る限界ギリギリにしたものが松谷化学工業という会社がつくっている難消化性デキストリンなんです」(『あれは錯覚か!?~』より)

 実はトクホ商品の多くは、この松谷化学工業(兵庫県伊丹市のでんぷん総合メーカー)の難消化性デキストリンを使用しており、「メッツコーラ」「からだすこやか茶W」にも入っている。難消化性デキストリンを入れた食品であれば、トクホ表示が許可されやすくなっているのだ。

 また、東洋経済の記事では『からだすこやか茶W』を「日本コカ・コーラ『初の』トクホ商品」と書いているが、同社は09年にトクホ茶「からだすこやか茶」を販売しているので、実際は「初」ではない(http://www.cocacola.co.jp/press-center/press-release/news-20090622)。

 しかも日本コカ・コーラの公式サイトに記載されている関与成分を見ると「350ml当たり約5gの食物繊維(難消化性デキストリン)」など、「からだすこやか茶」と「からだすこやか茶W」は、成分も含有量も同じで、違いは難消化性デキストリンのトクホに認められた作用だけだ。

●3つの作用が認められた難消化性デキストリン

 松谷化学工業のプレスリリースによれば、「機能性食品素材『難消化性デキストリン』を配合した日本コカ・コーラ株式会社の清涼飲料水『からだすこやか茶W』において、『食後中性脂肪の上昇抑制作用』についての特定保健用食品(トクホ)の表示許可を2011年4 月1 日、消費者庁より得ました」「これにより、難消化性デキストリンがトクホに認められた作用は、『整腸作用』『食後血糖値の上昇抑制作用』『食後中性脂肪の上昇抑制作用』の3作用となります」という。

「からだすこやか茶」の作用は「食後30分後の血糖値上昇を約20%抑制」だけだったが、その後、実験の結果、「脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにする」という効果もうたえるようになったために「からだすこやか茶W」と改名して再登場させたのだ。

 つまり、今後は難消化性デキストリンの入った商品は2作用、もしくは3作用の効果をうたえるようになる。すでに販売されている商品でも、難消化性デキストリンが入っていれば「メッツコーラW」などと商品名を変えて、効果が増えたようにうたう企業も出てくるかもしれない。

 そもそも、炭酸飲料であるメッツコーラのトクホの許可に関しても、食料品メーカーの業界主導で行われたほどなのだ。前出の笠岡氏はこう明かす。

「メッツコーラの場合、食品安全委員会でかなり議論されたようです。健康によいと思われているトクホの商品として、コーラがなじむのかどうか。結局、結論が出ずに、その上位である消費者委員会に判断が委ねられたようです。その後、消費者委員会がトクホでいいんじゃないかと認めたんですね。でも、そのメンバーには食品企業関係の方も含まれているようです。もしかすると炭酸飲料系トクホが許可されれば、業界も盛り上がるだろうなぁとか、思惑も働いたんじゃないかと思ってしまいますね」

 今では、清涼飲料水市場をトクホの炭酸飲料が牽引するほどになった。業界主導のトクホビジネスで、次はノンアルコールビールのトクホが出てくるかもしれない。
(文=松井克明/CFP)

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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