NEW
「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第69回

社長も編集長も不倫まみれの巨大新聞社、刷新なるか!?~いよいよ週刊誌暴露へ

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「Thinkstock」より
【前回までのあらすじ】
 業界最大手の大都新聞社の深井宣光は、特別背任事件をスクープ、報道協会賞を受賞したが、堕落しきった経営陣から“追い出し部屋”ならぬ“座敷牢”に左遷され、飼い殺し状態のまま定年を迎えた。今は嘱託として、日本報道協会傘下の日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)で平凡な日常を送っていた。そこへ匿名の封書が届いた。ジャーナリズムの危機的な現状に対し、ジャーナリストとしての再起を促す手紙だった。そして同じ封書が、もう一人の首席研究員、吉須晃人にも届いていた。その直後、新聞業界のドン太郎丸嘉一から2人は呼び出され、大都、日亜両新聞社の社長を追放する算段を打ち明けられる。しかし、その計画を実行に移す直前に東日本大震災が起こった。震災から2カ月を経て、太郎丸が計画再開に向けて動き出した。

「『深層キャッチ』に載りよる。今頃は写真も原稿も出稿されちょるはずじゃ。5ページの大企画じゃ。お主らは眉唾でみちょったようじゃが、期待してええんじゃないかのう」

 太郎丸嘉一が自信ありげに答えると、今度は深井宣光が眼を見開いた。

「え、会長、トップ記事ですか」
「それはわからんな。記事の扱いまで容喙しよるのは失礼じゃけんのう。トップか二番手じゃろうと、思っちょる。お主らに『深層キャッチ』に載りよる写真をもってきよったぞ」

 太郎丸は背広の胸ポケットから三つの封筒を取り出し、テーブルに置いた。

「順番にみろや。中に入っちょる写真が『深層キャッチ』が使いよる写真じゃわ」

 太郎丸はパイプを置き、ケーキにフォークを入れた。吉須晃人と深井はテーブルに置かれた封筒を一つずつ取り上げた。封筒にはキャビネ判にプリントされた写真が入っていた。

 吉須の取った封筒からは7枚の写真が出てきた。大都、日亜両社の本社ビル、リバーサイドホテル、シスレー・タワー二番町、市ケ谷左内坂町ハウスと建物が5枚、それに、大都社長の松野弥介、日亜社長の村尾倫郎の顔写真2枚だった。

 見たことのない写真は左内坂町ハウスの写真だけだった。しかし、それも村尾の愛人の芳岡由利菜の自宅マンションだろうと推測がついた。

 吉須はちらっと見ただけで、封筒に戻し、もう一つの封筒を取った。この封筒には松野と愛人の社長室職員の花井香也子がリバーサイドホテルに出入りする姿をキャッチした写真だった。2月28日夜から3月1日朝までに撮られたものだった。

 1枚目と2枚目は28日午後6時3分、ホテル玄関で社用車から降りる松野、そして、17分後に外出する松野を写していた。

 3枚目は午後9時12分、ホテルの玄関に向かい、香也子が歩いている姿、4枚目はその15分後にタクシーで戻ってきた松野が玄関で降りたところを撮影していた。