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武田、ノバ社…製薬業界に広がる誇大広告、不正論文疑惑~医師やコンピュータを駆使

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「Thinkstock」より
「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/3月29日号)は『頼れるクスリ』という特集を組んでいる。

「自分や家族を守ってくれる『頼れるクスリ』はどれなのか。そもそもどんなものがあるのか。医者から処方箋をもらう医療用医薬品の最新事情を病気別に徹底解剖した。併せて、不正論文への関与や誇大広告の疑惑が浮上し、信頼が揺らぐ製薬業界の裏事情に迫る。クスリの表と裏をすべてお見せする」という特集だ。

『Part1 がんに挑む最新薬編』では、生活習慣病市場を食べ尽くした製薬業界は、日本人の死因1位であるがん市場で熾烈な新薬開発競争を繰り広げているという。現在の主流は分子標的薬だ。

「分子標的薬は2000年代に本格化した新カテゴリーだ。がん細胞が増殖や転移をするのは、異常な遺伝子からできた物質が原因にある。分子標的薬はその原因となる物質のみを攻撃するので、正常な細胞へのダメージが少なく、副作用の軽減が図られる」のだという。

『PART2 病気別 注目の最新薬編』では「処方されるクスリの詳細な情報はなかなか患者まで届かない。自分や家族が悩む病気にどんな最新薬や新薬候補があるのか。どれが頼りになるのか──」という視点で、糖尿病や痛風など、病気別の最新情報をまとめている。

●製薬の誇大広告

 今回注目したいのは、『PART3 クスリのカラクリ編』で、「ディオバンに関する不正論文問題の発覚以降、臨床研究や論文をめぐる疑惑が相次ぎ、自社製品が有利に見えるように宣伝していた実態が明らかになった。製薬業界の巧妙なマーケティング手法に迫った」というものだ。

 データの加工に使い回し、他人の文章の盗用……「ノーベル賞級の発見」から約1カ月半。新種の万能細胞と称されたSTAP細胞論文に不正が次々に発覚し世間をにぎわせた。小保方晴子ユニットリーダーの早稲田大学の博士論文にもコピペ(コピー&ペースト)疑惑が浮上しているほどだ。

 製薬業界でも、ある2つの疑惑に揺れている。スイスのメガファーマの日本法人・ノバルティスファーマの高血圧症治療薬「ディオバン」の不正論文問題と、製薬業界の国内最大手・武田薬品工業の高血圧症薬「ブロプレス」の論文に関する誇大広告疑惑だ。いずれも不適切なデータを用いて、医師に対して自社製品に有利な宣伝をしていたことが問題視されている。

「高齢化の進んだ日本では高血圧症の患者数が多く、さらに投薬が始まればずっと使い続ける“お得意さま”となるため、製薬会社にとって高血圧症薬は稼ぎやすく、経営的にも重要なもの」だ。

 ディオバンは国内でピーク時1400億円を超える大ヒットになった。これに真っ向勝負を挑んだのがブロプレスだった。2012年度の製品別売上高ランキングでは、1位がブロプレス、ディオバンは2位だ。

 しかし、「そもそもディオバンやブロプレスは、血圧を下げる効果自体は1世代前の薬であるアムロジピンに劣っている。それでもたくさん売れたのは『降圧を超えた効果』などと煽るフレーズで、臓器保護作用など降圧以外の副次的な効果を盛んにアピールしてきた」。