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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第70回

巨大新聞社社長の不倫、写真週刊誌でついに暴露! ~各新聞社は塗りつぶして隠蔽

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「Thinkstock」より
【前回までのあらすじ】
 業界最大手の大都新聞社の深井宣光は、特別背任事件をスクープ、報道協会賞を受賞したが、堕落しきった経営陣から“追い出し部屋”ならぬ“座敷牢”に左遷され、飼い殺し状態のまま定年を迎えた。今は嘱託として、日本報道協会傘下の日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)で平凡な日常を送っていたが、もう一人の首席研究員、吉須晃人とともに、新聞業界のドン太郎丸嘉一から呼び出され、大都、日亜両新聞社の社長を追放する算段を打ち明けられる。しかし、その計画を実行に移す直前に東日本大震災が起こった。震災から2カ月を経て、太郎丸が計画を実行に移した。

 写真週刊誌『深層キャッチ』の発売時の広告は、大都、国民、日亜の3大新聞朝刊と、電車の中吊りである。キャッチコピーは朝刊も中吊りも大体同じだ。しかし、6月13日号が発売になった5月30日、月曜日の朝刊や電車の中吊りはいつも通りではなかった。国民朝刊と電車の中吊りは同じ中身だったが、大都、日亜の朝刊のそれは少し違っていた。

 記事の軽重判断が変わっていたわけではない。右トップのコピーは全く同じで、大地震と原発事故を扱った特集の紹介だった。「原発メルトダウンの衝撃! 『東京脱出が現実になる?』」「処理手つかずの瓦礫の山、山、山」…。こうしたコピーが3分の1を占めていた。左トップも若手女優が主演した映画で初めて晒した“濡れ場”写真や、芸能人同士の熱愛スクープ、そして、名前すら聞いたこともないアイドルたちのヌードなどの紹介コピーがまとめられていた。これにも、3分の1ほどのスペースを割き、違いはなかった。

 違っていたのは左右に比べ、活字を小さくしてすし詰めに“その他大勢”の記事を紹介する中央のスペースだ。その冒頭の紹介コピーで、大都朝刊の広告は一部白塗りのところがあり、日亜朝刊では2行ほどが黒塗りにされていた。そのコピーが大都社長の松野弥介と日亜社長の村尾倫郎の不倫を暴く写真と記事の紹介だった。

 国民の広告には中央に「大新聞の腐敗を暴く! スクープ撮『大都・日亜トップの不倫現場』/役員登用条件はスキャンダルという奇怪」という見出しがあった。しかし、日亜の広告ではこの2行全てが黒く塗りつぶされ、大都では「大都・日亜トップの」の部分が白塗りになっていた。

 電車の中吊り広告は国民の朝刊と同じだったが、活字が小さくてキャッチコピーの用をなしていなかった。写真週刊誌も大地震関連で3分の1以上埋める状況に変化なく、当然、松野や村尾の不倫など、それを押しのけるほどのバリューはなかった。冒頭から大地震関連の特集が続き、それが終わると、芸能人同士の熱愛スクープ写真が取り上げられ、松野と村尾の不倫現場の写真と記事が載ったのはその次のページだった。

 記事は5ページで、松野関連の写真が4枚、村尾関連が4枚だった。松野関連の写真は2月28日夜と3月1日朝にリバーサイドホテルで撮ったもので、松野と社長室職員の花井香也子は夜ホテルに入り、翌朝、出ていくところを捉えた写真だった。村尾関連は1枚が2月28日夜、村尾がシスレー・タワー二番町に帰ってきたところ、次の3枚は愛人の芳岡由利菜を捉えた写真で、3月5日朝、由利菜が自宅の左内坂町ハウスを出るところ、そして、タワー二番町でトラックの荷物の運びこみを指示している姿だった。最後は3月7日朝、由利菜の左内坂町ハウスの郵便受けにたまった新聞を写したものだった。